税関行政処罰案件処理手順規定
2021-07-23「税関行政処罰案件処理手順規定(税関総署令 2021 年第 250 号)」の概要は以下の通りです。
1.公布の経緯
「税関行政処罰案件弁理手順規定(税関総署令 2021 年第 250 号)、以下、250 号規定」が、2021 年 6 月 15 日に公布され、同年 7 月 15 日より施行されています。 これは、同日施行される、改定版の「行政処罰法(主席令 2021 年第 70 号)」の内容に合わせ、税関行政処罰に関する手続を改定したものです。250 号規定の施行に伴い、「税関行政処罰聴聞弁法(税関総署令 2006 年第 145 号)・税関総署令 2014 年第 218 号により修正」、「税関行政処罰案件処理手順規定(税関総署令 2007 年第 159 号)・税関総署令 2014 年第 218 号により修正」、及び「税関行政処罰簡単案件処理手順規定(税関総署令 2010 年第 188 号)」は廃止されています。
2.制度変更の概要
① 内容追加
「行政処罰法」の内容に合わせ、今回の 250 号規定では、以下の内容が追加されています。
- 1) 教育と処罰の統合という原則的概念により案件を処理するという内容の追加(第 3 条)。
- 2)初回の違反であり、危害が軽く、且つ速やかに改善する場合。及び、過失であり、意図的なものではないと証明ができる場合、行政処罰をしないという内容の追加(第 56 条・57 条)
- 3) 以下のような場合には、行政処罰を軽減することができるという内容の追加(第 58 条)。
- 違法行為の有害な結果を、積極的に排除、若しくは、軽減する場合。
- 他人から強要・脅迫されて違法行為を行った場合。
- 税関がまだ把握していない違法行為を、積極的に開示した場合。
- 税関に協力して違法行為を調査・処理し、貢献が認められる場合。
- 法律、行政規則、税関規則に基づき、軽減・緩和が認められている場合。
- 4)税関は法律に基づき行政処罰の裁量基準を設定できるが、その基準は公開しなければならないという内容を追加(第 62 条)。
- 5)大規模な伝染病の発生や、その他の緊急事態が発生した場合、それにより引き起こされた社会的危害を管理、軽減、排除するために、税関は対応措置に対する違反を速やかに、且つ、重要に処罰するという内容を追加(第 59 条)。
② 内容修正
「行政処罰法」の修正内容に合わせて、以下の様に修正を行っています。
- 1)税関行政処罰の立案根拠、実施手順、救済方法などの情報は、開示されなくてはならないという内容を追加(第 6 条)。
- 2)税関は法律に基づき、行政処罰の開始、調査、審査、決定、送達、執行等の全記録を、文字・映像などの形で記録に残さなくてはならない(第 7 条)。
- 3)税関が行政処罰案件に使用する証拠の種類は、「書類、物理的な証拠、視聴資料、電子データ、証人の証言、当事者の陳述、調査意見、現場検証記録」であり、証拠は真実性を確認しなければならない。暴力、強迫、誘導、詐欺的な手段などによって得られた証拠は、使用してはならない(第 18 条)。
- 4)違法行為が2年以内に発見されない場合、行政処罰は課さない。但し、市民の生命・健康の安全、金融的の安全に有害な結果をもたらす場合、上記の期間は 5 年間に延長されるが、法律に別段の定めがある場合は例外とする。
- この期限は違法行為発生日から起算し、違法行為が連続的・継続的である場合、終了の日から起算する(第 60 条)。
- 5)聴聞終了後、税関は、聴聞記録に基づいて、本規則の第 68 条・72 条の規定に基づき審査を行い、決定を下すものとする(100 条)。