期間限定の中小企業支援税制 執筆日:2019年4月30日

2020-05-31

期間限定の 中小企業支援税制 ****

2019 年 1 月 17 日に、財政部・税務総局より、「小規模企業の包括的な税収減免政策実施に関する通知(財税[2019]13 号)、以下、13 号通知」が施行され、2019 年 1 月 1 日~ 2021 年 12 月 31 日の期間実施されます。これは、中小企業に対する時限的な優遇制度ですが、この内容と、経緯について解説します。

1.13 号通知の内容 ****

13 号通知では、2019 年~ 2021 年度に限定して、以下の優遇措置を認めています。

① 増値税少額納税者に対する納税免除(第 1 条)

月の売上高が 10 万元以下の増値税小規模納税人は、増値税を免除する事が規定されています。これは、既存の基準である 3 万元からの引き上げです。

② 企業所得税の減免(第 2 条)

小規模薄利企業に関しては、課税所得が 100 万元を超過しない部分に関しては、課税所得を 25%に減額した上で、20%の税率での企業所得税課税(実質税率 5%)を。課税所得 100 万元超~ 300 万元以下の部分に対しては、50%に減額した上で、20%の税率での企業所得税課税(実質税率 10%)を認めています。

<小規模薄利企業の定義>

上記の優遇を受ける事ができる小規模薄利企業とは、国家が制限・禁止する業種ではなく、且つ、年度の課税所得が 300 万元以下、社員 300 人以下、資産総額 5,000 万元の 3 条件を、全て満たす企業を言います。

尚、従業員数は、企業が労働契約を締結した社員に加え、受け入れた派遣人員を含みます。また、従業人数と資産は、以下の公式により、企業の年度平均値を算出して、適用可否を判定します。

四半期平均値=(四半期初+四半期末)÷ 2

全年四半期平均値=全四半期の合計額 ÷ 4

③ その他の減税(第 3・4 条)

地方政府は、当該地区の実情に応じて、増値税の小規模納税義務者に対して、50%の範囲内で、資源税、城市建設税、房産税、城鎮土地使用税、印花税(証券取引印花税は含まない)、耕地占用税、教育費付加、地方教育費付加を減額徴収する事が認められます。

2.企業所得税優遇措置の経緯 ****

小規模薄利企業に対する企業所得税の減免は、企業所得税法・同実施条例に規定されています。但し、同法の優遇措置は、20%の税率適用(標準税率 25%に比べて 5%の軽減)であり、薄利の定義は、年間課税所得 30 万元以下となっていました。

また、従業員数(工業企業は 100 人以内、その他企業は 80 人以内)、総資産(工業企業は

3,000 万元以内、その他企業は 1,000 万元以内)という条件が設定されています。

但し、実際には、時限的な優遇措置が随時公布され、企業所得税法の規定よりも、有利な条件が提供されています。

直近では、財税[2018]77 号により、2018 ~ 2020 年度の期間、年度の課税所得が 100 万元以下の小規模企業の場合、10%の企業所得税率適用が認められています(課税所得を 50%に減免の上、20%の税率を適用)。

その優遇期間終了前に、今回の 13 号通知が公布され、より有利な条件が、2021 年まで適用されることになりました。

小規模薄利企業に対する企業所得税の減免は、一定条件(課税所得、人数、資産規模)を超過すると、全く適用不可となり、通常税率の 25%が課税されます。よって、課税所得が、300 万元まで引き上げられたこと、更には、人数・資産要件の緩和により、優遇税率(5%、及び 10%)の適用が認められる企業が大きく拡大する事が想定され、中小企業にとっては、有難い措置と言えます。