【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.61

2015-12-25

**【INDEX】 ** **【中国ビジネス・トレンド】 **[保税・免税輸入設備の中国外への再輸出](#1)

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**
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**【中国ビジネス・トレンド】
**

**保税・免税輸入設備の中国外への再輸出
**
加工貿易企業が保税形態で輸入する設備(無償提供設備)、奨励分類外資企業が免税輸入した設備を、再度、中国外に輸出する場合の注意点は以下の通りとなる。

1.保税輸入設備(無償提供設備)

1)輸入段階
加工貿易企業の無償提供設備の根拠法は、「加工貿易において輸入する設備に関する通知(税関総署・対外貿易経済合作部[1998]外経貿政発 383 号)」となる。
無償提供設備は、従前は、関税・増値税共に保税措置の適用が受けられたが、2009 年 1 月 1 日に増値税の免税措置が打ち切られ(財政部・税関総署・国家税務総局公告 2008 年第 43 号)、現在では、関税の保税措置適用が受けられる。

増値税の免税措置打ち切りの理由は、2009 年 1 月 1 日の増値税暫定条例改定により、設備機械購入時に支払った増値税の控除・還付が受けられるようになった事によるもの。
但し、無償提供設備の輸入段階課税に付いては、本来、設備の所有権者である外国企業が負担すべき税金という理由で、加工貿易企業側で還付・控除が受けられず、原価処理する必要が生じている。

**2)監督解除
** 無償提供設備には 5 年間の監督解除期間が設定されている。
この期間を経過すれば、所管税関に監督解除(税関リストからの削除)を申請する事ができるが、税関によって対応方法が異なるため、個別確認が必要となる。

<監督解除>
無償提供設備の監督解除は、原則として企業の申請に基づく(5 年経過しても、自動的に監督解除される訳ではない)。
これは、無償提供設備の監督解除は機電輸入許可取得手続・所有権者の変更を伴うため(監督解除に際して、外国企業から加工貿易企業への設備の無償譲渡という処理を税関が行う)、免税輸入設備とは異なり自動解除が行われないもの。
但し、監督期間を満了した時点で速やかに監督解除申請を行うよう税関が指示する地域、監督解除に際して、自社工場での使用に限定という条件が付く地域等があるため、実務対応を所管税関で確認する必要が有る。

尚、「税関総署公告 2001 年第 16 号」・第 3 条には、監督期間を満了した設備は国外に積み戻すのが原則であり、そうしない場合は輸入手続を採るべき事が規定されているが、実際には 5 年経過した段階で再輸出する事例は極めて少ない。

<納税>
無償提供設備の監督解除時に、輸入から 5 年(監督期間)が経過していれば、輸入段階で課税留保された関税・増値税の追納は不要です。
未経過の場合は、未経過期間に対して月単位で関税・増値税を納付する必要が有る。

**3)再輸出
** 無償提供設備を再輸出する場合、監督解除済みか否かで手続が異なる。

イ)監督解除されていない場合
監督解除されていない場合は、国外に無償で積み戻す事ができる。
輸出に当たり、関税・増値税の課税を受ける事はない。

ロ)監督解除されている場合
監督解除の一義的な意義は、税関リスト(処分制限リスト)からの削除であり、設備の所有権に本質的な変更を与えるものではない筈だが、実務上、監督解除は 輸入手続を伴う(監督解除時に加工貿易企業が機電輸入許可を取得し、輸入手続きを行う)事から、この段階で「外国企業から中国企業(加工貿易企業)に対し て設備の無償譲渡が行われた」と見なした税関処理が行われる。
結果として、監督解除済の無償提供設備は、外国企業に対する返却ができず、一般貿易形態での輸出が必要(税関許可が必要。また、適切な輸出貨物代金の設定が必要となる)。
尚、一般貿易形態の輸出に関しては、増値税の免税措置が適用され、輸出に際しての課税は無いが、輸出還付も受けられない(無償提供設備の輸入段階で課税される増値税は還付・控除が認められないため)。

2.免税設備(奨励類外資企業の免税輸入設備等)

**1)輸入段階
** 奨励分類外資企業が総投資の範囲内で輸入する自己使用設備は、「国務院の輸入設備税収政策を調整する事に関する通知(国発[1997]37 号)」に基づき免税輸入が可能となる。
従前は、関税・増値税双方の免除措置が適用されていたが、2009 年 1 月 1 日より増値税の免税措置は打ち切られたため(財政部・税関総署・国家税務総局公告 2008 年第 43 号)、現在では関税のみが免税対象となる。
奨励分類企業の免税輸入に関しては、(無償提供設備とは異なり)輸入者である外資企業が所有権を有するため、輸入段階で課税された増値税は還付・控除が認められる(一般納税義務者である事が前提)。

2)監督解除
免税設備の監督期間は無償提供設備と同様 5 年。
無償提供設備とは異なり、免税輸入設備の場合は、5 年経過すれば自動的に監督解除が行われる(税関総署令 2009 年 179 号)。
⇒ 奨励分類企業の免税輸入の場合は、既に、所有権移転・輸入手続が完了している為、監督期間満了により、自動的に監督解除が行われる。

3)再輸出
免税輸入設備を再輸出する方法には、「監督解除後の設備を一般貿易形態で輸出する場合」と「免税状態のまま積戻す(退運)方法」の 2 種類がある。
双方、輸出=売却行為になるため、適切な輸出代金を設定する事が義務付けられる。

イ)一般貿易形態(監督解除後の再輸出)
この方法で再輸出を行う場合、5 年未経過の設備の場合は、税関に監督解除申請をし、関税・増値税を追納した上で輸出許可を申請する。許可取得後、検験検疫局に消毒申請をした上で輸出する事になる。
輸出に際しては免税措置が適用される(5 年未経過の状態で監督解除した場合、支払った増値税の輸出還付は受けられない)。
⇒ 「中古設備輸出増値税還付(免税)暫定弁法(国税発[2008]16 号)に、免税輸入設備を再輸出した場合、増値税の輸出還付は受けられない事が明記されている。

ロ)積戻し
免税措置を継続のまま再輸出する方法であり、監督期間中の再輸出でも輸入段階課税の追納は不要。
但し、手続が規範化されておらず、所管税関や関連政府機関(商務主管部門等)の運用に委ねられる面が有る点、注意を要する。起こり得る問題は、以下の通り。
● 当該設備が現物出資されたものである場合、減資要求を受ける場合がある(外資企業の減資許可取得は極めて困難)。
● 輸入価格と同額で再輸出する事を要求される場合が有る。

この形態の再輸出に付いても、増値税の免税措置が適用される。
⇒ 関税も増値税も課税されないまま再輸出される(増値税の還付もない)。

以上


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**
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水野真澄の現在の連載は、以下の通りとなっております。

・ 日本経済新聞(ビジネスの流儀) 月 1 回・木曜
・ 時事通信(水野真澄の目からウロコ) 隔週・金曜
・ NNA(中国ビジネス講座) 毎週・月曜
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ここでは、中国法人にとって、有利なオペレーションを可能にするクロスボーダー人民元取引の活用方法を解説します。

*今回の講演では、中国の外貨管理上初めてネッティング、国際間のプーリング(国際間の相殺決済・資金移動)を認めた、外貨・クロスボーダー人民元による資金集中管理の内容と実務上の注意点についても解説します。

<プログラム>
1. 輸出入・国内取引上の外貨決済と注意点
1.貨物代金決済の原則
2.非居住者(日本企業)の中国内販売関与
3.債権債務の相殺
4.三国間取引(オフショア取引の対応可否)
5.保税区域外貨管理

  1. ユーザンス、前受・前払取引制限
    1.輸出ユーザンス
    2.輸入ユーザンス
    3.輸出代金前受け金
    4.輸入代金前払金

  2. 配当・フィー・ロイヤルティの対外送金
    1. 非貿易項目対外送金の原則
    2.配当金の対外送金(外資企業・内資企業)
    3.コンサルティングフィー、技術指導料の対外送金
    4.ロイヤルティ等(無形資産の譲渡・使用対価)の対外送金
    5.コミッションの対外送金
    6.国際間の立替金決済
    7.人件費の送金と PE 認定

  3. 外資企業の資金調達方法(投融資)
    1.資本金払込みと使用の制限
    2.クロスボーダー借入制限
    3.中国内の銀行借入と委託貸付
    4.現地法人設立前の口座開設と資金の使用
    5.中国法人の国外口座開設

  4. 組織再編と持分譲渡(買収、エグジット)に関連する外貨管理
    1.直接投資に関する外貨管理局許可の要否
    2.持分譲渡の対外決済方法
    3.外資企業の国内再投資に関する外貨管理

  5. 人民元対外決済試行措置の現状
    1.人民元対外決済の状況
    2.人民元建てユーザンス取引と総量規制の関係
    3.人民元による対中投資
    4.クロスボーダー人民元融資
    5.上海自由貿易区のクロスボーダー人民元優遇措置

  6. 多国籍企業の資金集中管理(双方向プーリング、ネッティング)
    1.外貨によるプーリング・集中決済
    2.人民元プーリング・集中決済

■ 日時 2016 年 1 月 29 日(金) 13:00 ~ 17:00
■ 会場 東京・麹町 企業研究会セミナールーム
■ 主催 一般社団法人企業研究会
■ 講師 Mizuno Consultancy Holdings Ltd.代表取締役社長 水野真澄
■ 受講料 通常…35,640 円
MCH 会員様…25,920 円
非会員様(MCH メルマガ経由申し込み)…29,160 円
※申込書に、会員様は「MCH 会員」、一般の方は「MCH メルマガ経由申込」とご明記下さい。
参加ご希望の方は、以下詳細ページをご確認の上、直接、企業研究会へお申し込みください。

■ 詳細 HP https://www.bri.or.jp/seminar/43381

■ お申し込み・お問合せ先
所定申込用紙にて e-mail または FAX でお申込みください。
一般社団法人 企業研究会 事業開発部
担当:福山 E-mail : fukuyama@bri.or.jp
〒 102-0083 千代田区麹町 5-7-2 麹町 31MT ビル 2F
TEL 03-5215-3512 FAX 03-5215-0951


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2015 年 12 月 29 日~ 2016 年 1 月 3 日の期間は年末年始休業のため、商品の発送、及びお問い合わせ対応をお休みとさせていただきます。


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