華東ビジネストレンド(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.252
2025-02-20【中国ビジネス・トレンド】華東ビジネストレンド(簡易版)
華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。
※コンサルティングサービスの詳細は こちらをご参照ください。
1.上海市青浦区の工業用地の産業構造の刷新とその発展スペースの確保を目的とした実施弁法(試行)が公布されました
青浦区工業用地の産業更新実施弁法(試行)(青経規[2024]2号)
上海市青浦区の工業用地に「先進的な製造業」を配置し、地区の産業構造の刷新とその発展スペースの確保を目的とした実施弁法(試行)です。
下記の4つの原則を掲げています。
(1)地区の総合的再生と散発的再生の協調的な促進
(2)統合的な更新のプラットフォームと土地の権利者とのウィンウィン協力
(3)政府介入と市場原理の組合せ方式
(4)工業用地の全ライフサイクル的管理、品質向上と運営効率化の同時実現
対象地区は「青浦区計画工業園区」に属す各区(青浦工業園区、華新工業園区、練塘工業園区、朱家角工業園区、など)で、以下の条件を満たすことが必要です。
1)ビッグデータ、健康関連の先進製造業を特色産業として発展させること。
2)固定資産投資と生産額のレベルが新規工業用地の参入基準を満たすこと。所定の生産能力到達後の税負担レベルが新規工業用地の参入基準の70%をクリアし、そこから3年後には100%クリアすること。
予め合意された生産能力は、プロジェクト開始日から起算して5年以内に達成すること。
3)産業構造転換の重点区域は、四方の境界線が明確で、合計面積70ムー以上であること。
投資者の親企業は影響力と知名度がある企業で、投資の主体組織は親企業の独資か投資用ホールディング企業であり、中国国内で先進的な製造業を前提とする産業園区の管理運営に成熟した企業であること、など。
4)先進的製造業に隣接する区域を、20ムー以上の面積をカバーする前提で、新たな区画として更新を進める「統一更新事業者」を奨励すること。
「産業構造調整専用資金」を提供。産業調整を実施した重点区域の更新後面積が300ムー以上の場合、市級調整プロジェクトとして優先的に申告し、1対1以上の比率で資金提供、区級調整プロジェクト70~150ムーに対し1ムー当たり15万元補助金提供、など。
このほか、対象用地の生活用施設面積、建築物高さ、用地の段階的譲渡基準、支援金融政策などが具体的に記されています。
指導組織の強化、産業用地の総合評価クラス分け(A:サポート奨励~D:整理撤去)、土地契約関係の約款整備など、行政的な保障体制を確立するとしています。
2.上海市の食品企業による食品安全の国家標準、上海市標準よりも厳しい「自社標準」の登録に関する弁法が公布されました
上海市食品企業標準備案弁法(滬衛規[2024]17号)
上海市の食品企業が国家の食品安全基準か又は上海市の食品安全基準よりも厳しい「自社基準」の登録、及び登録後の行政機関による管理規定を定めた弁法です。
食品企業は、「備案制度」に従い、オンラインの「全プロセスワンストップ行政手続きプラットフォーム」を通して「自社標準」を申請します。上海市の衛生健康部門がその「備案」を審査し、監督管理します。また官報を通じて該当の企業標準を公開します。
3.中国(上海)自由貿易試験区内の税関特殊監督管理区域内で、国境外の機械や設備などの貨物を、保税状態のままで補修など行う適格事業者の認可条件や申請方法を定めた方案
中国(上海)自由貿易試験区における臨時入境修理の試行ポイントの監督管理方案(滬商貿発[2024]284号)
臨港新片区を含む中国(上海)自由貿易試験区内の税関特殊監督管理区域内で、国境外の機械や設備などの貨物を、保税状態のままで補修などメンテナンスを行う適格事業者(試行ポイント企業)の認可条件や申請方法、並びに行政側の監督管理の規則を定めた方案です。
4.サービス貿易分野のレベルアップと新しいタイプの業態の促進のため、毎年更新されている目録の2024年版
上海市サービス貿易促進指導目録(2024年版)(滬商服貿[2024]328号)
サービス貿易分野のレベルアップと新しいタイプの業態の促進のため、毎年更新されている目録の2024年版です。24年版では、下記の10種のサービス業に対して、その発展目標と重点育成対象を具体的に示しています(23年版の11種から10種へ分類変更)。
(1)運輸サービス(総合的国際貨物代理、専門分野の国際貨物代理)
(2)旅行/観光サービス(スター級高級ホテル、経済型ホテルチェーン)
(3)電信/計算機/情報サービス(ソフトウェア開発、デジタル処理/情報サービス、インターネット情報技術/デジタルコンテンツ、集積回路開発設計)
(4)工事請負/建築サービス(中/高級建築工事、工事設計)
(5)専門業務(コンサルティング、会計、法律、広告、人材サービス、検測/認証、展示会サービス)
(6)文化サービス(新聞/出版、映像、芸能、ゲーム/アニメ、工芸/美術など)
(7)医薬/衛生サービス(医療機関、医療サービス、漢方医薬/保健、人材育成)
(8)スポーツサービス(競技イベント運営/仲介/諮問、イベント知財権など)
(9)その他分野のデジタルサービス(デジタル製品貿易、デジタル技術サービスなどニューモデル/新たな業態のデジタルサービス)
(10)アウトソーシングサービス(IT業務サービス、専門情報収集/解析サービス)
5.上海市における中古車の輸出拡大のための具体的な促進措置
上海市の中古車の輸出促進に関する若干の措置(滬商規[2024]19号)
上海市における中古車の輸出拡大のため、具体的な促進措置を定めた政策文書です。中古車の海外向けサプライチェーン、優秀な輸出企業と車両パーツの産業チェーンを構築し、輸出の規模を大幅に増加させることが目的です。
6.上海市における企業名称の争議解決のための「行政裁決」を定めた弁法
上海市企業名称争議裁決実施弁法(滬市監規範[2024]0006号)
上海市における企業名登記の件数の増加に伴う企業名に関わる争議の増加を踏まえ、争議解決のための「行政裁決」の仕組みを具体的に定めた弁法です。
第1章「総則」で、まず根拠法規、適用範囲、定義、裁決機関/裁決人資格、裁決原則を定め、第2章以降で、裁決申請要件/材料から申請受理/不受理の定義、答弁、調停、審査、裁決決定、裁決後の公示と企業名称変更、裁決不服時の救済措置、国家市場監督管理総局への報告まで、計5章/22条の構成で、具体的な規定を示しています。
7.上海の一部口岸を経由して洋山特殊総合保税区に出入境する、一定の条件を満たす貨物は、税関に出入境に関する申告不要で直接リリースできるようになりました
『洋山特殊総合保税区の出入境貨物に対する直接通関許可政策の適用埠頭範囲』に関する通知(上海税関通告2024年第1号)
「中華人民共和国税関による洋山特殊総合保税区監督管理弁法」(税関総署公告2019年第170号)の第十三条により、洋山特殊総合保税区と国外の間を出入境する貨物が、同弁法第十一条(検疫必要な貨物)、第十二条(許可証必要な貨物)に該当する場合、企業は税関に申告手続きを行う必要がありますが、該当しない場合、税関は直接リリースさせることができます。
上記により、洋山特殊総合保税区内では、検疫及び許可証が必要ない一般貨物に対して、入区・出区する際に、直接リリースできるという制度があります。
今回の通知では、当該制度の適用範囲の拡大として、上海の他の口岸(上海港洋山深水港区、上海港杭州湾港区臨港工業区、上海港外高橋港区、上海浦東国際空港)を経由して洋山特殊総合保税区に出入境する対象貨物は、税関に出入境に関する申告は必要なく、洋山特殊総合保税区で直接リリース出来るようにしました。
8.臨港新片区を含む中国(上海)自由貿易試験区を先行モデル地区として、輸入医療器械への中国語ラベルの貼付と中国語の説明書の付帯を標準化する規定
中国(上海)自由貿易試験区における輸入医療器械への中国語ラベル貼付に関する規定(試行)(滬薬監規[2024]7号)
臨港新片区を含む中国(上海)自由貿易試験区を先行モデル地区として、輸入医療器械への中国語ラベルの貼付と中国語の説明書の付帯を標準化する規定です。