重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.246
2024-12-12【中国ビジネス・トレンド】重要法令等の解説(簡易版)
1.両用品目(軍事用途に使用し得る品目)に関する輸出管理規則が変更されました
中華人民共和国両用品目輸出管理条例(中華人民共和国国務院令2024年第792号)
「輸出管理法」に基づく実施細則と位置付けられる、「両用品目輸出管理条例」が2024年12月1日から施行されます。同条例は総則、管理政策、規制内容、監督内容、法律責任、その他合計6章の内容で構成され、主な留意点は以下の通りです。
(1)現在の両用品関連規定で要求されている輸出経営者登記制度が撤廃される。
「両用品目輸出管理条例」の実施により「核両用品及び関連技術輸出管理条例」、「ミサイル及び関連物質と技術輸出管理条例」、「生物両用品及び関連設備と技術輸出管理条例」、「関連化学品及び関連設備と技術輸出許可管理条例」」が廃止されます。
廃止される条例には、「対象製品の輸出に従事する輸出経営者は、輸出許可証を申請する前に、商務部にて輸出経営者に関する登記手続きを行う必要がある」と規定されていますが、今回の管理条例では、輸出経営者登記に関する規定が削除され、今後は、直接管理条例に基づき関連輸出許可証の申請が可能になると思われます。
(2)「輸出管理法」に規定される利便性措置(通用許可)について、申請条件、必要資料、および通用許可の適用が認められない状況等の詳細が規定されている(第15条、第16条、第20条)。
(3)特殊状況における輸出行為(修理、展示会参加等)に対して利便性措置を与え、輸出経営者が「情報登記という方式による輸出証憑の取得」が可能となる(第19条)。当該方式を適用できない状況も同条例の第20条に規定された。
(4)「輸出管理法」にある管理リスト制度のほかに、同条例にて注視リストという制度が実施される。国務院商務主管部門による両用品の最終ユーザーと最終用途に関する調査に協力しない場合、関連輸入者と最終ユーザーが注視リストにリストアップされる(第26条)。
(5)外国政府から現場検査が要求された場合の報告義務が明確に規定された。商務部の同意を得ていない場合、中国公民、法人、非法人組織が外国政府による訪問、現場検査を受けることができない(第38条)。
(6)輸出経営者、貨物輸送、通関等の第三者、及び国内輸入経営者と最終ユーザーが法律違反した場合の罰則等が規定された(第五章の法律責任)。
(7)両用品における監視化学品の輸出管理においては、同条例の他に、「監視化学品管理条例」の規定も参照する。「ミサイル及び関連物質と技術輸出管理条例」」の付属文書である、「ミサイル及び関連物質と技術輸出管理リスト」の第一部の物質・技術の輸出は、軍用品管理リストに入れられ、「軍用品輸出管理条例」等に基づいて対応する(第47条)。
(8)域外での適用範囲が第49条に明確に規定された。
第49条:国外組織と個人が中国国外で特定目的の国家と地区、特定組織と個人向けに以下の貨物、技術、サービスを移転、提供する場合、国務院主管部門は関連経営者に同条例の関連規定を参照して執行することが要求できる。
(一)国外で製造している両用品目であるが、当該品目に中国原産の特定両用品目を含有・集積・混在している場合
(二)中国原産の特定技術等の両用品目を使用して国外で製造された両用品目
(三)中国原産の特定両用品目
2.関税法の施行に伴い、新しい「税関輸出入貨物課税管理弁法」が公布されました
中華人民共和国輸出入貨物課税管理弁法(税関総署第272号令)
「関税法」が、2024年12月1日から施行されるのに伴い、新しい「税関輸出入貨物課税管理弁法」が公布されました。同名の旧法(税関総署令2005年第124号公布、2018年最終修正)は、新法施行と同時に失効となります。
3.銅・アルミニウム製品の輸入に関する管理が変更されます
再生銅及び銅合金原料、再生アルミニウム及びアルミニウム合金原料の輸入管理を規範化することに関する公告(生態環境部、税関総署、国家発展改革委員会等2024年第23号公告)
再生銅及び銅合金原料等の再生資源の輸入に関する法律根拠として、生態環境部・税関総署等2020年第43号公告が施行されていましたが、今回、同公告が公布され、2020年43号は失効となりました。
4.失業保険受給中の高齢者に関する養老保険支給手続きが変更されます
失業保険を受領する高齢者の企業従業員基本養老保険への加入に関する問題の通知(人社部発「2024」76号)
「全国人民代表大会常務委員会による段階的な法定退職年齢の延長に関する決定」により、「失業保険金を受領しており、且つ、法定退職年齢まで1年未満の人員に対して、失業保険基金が、規定に基づき、養老保険の払い込み手続きを代行する。」という政策が打ち出されています。
今回の通知では、支払い基準と、払い込み手続きが規定されています。
5.自由貿易試験区の通関等関連規制緩和措置が打ち出されました
自由貿易試験区の、国際的な高水準に対応するための制度開放試行措置の推進に関する作業の通知(国函「2024」156号)
2023年6月に、国発「2023」6号の実施により、上海、広東、天津、福建、北京自由貿易試験区と海南自由貿易港において、一連の規制緩和措置の施行を行いました。今回は、当該措置の適用範囲を全国の自由貿易試験区、若しくは、全国に拡大します。
6.EU原産のブランデーに対する臨時アンチダンピング措置が実施されます
EU原産の輸入ブランデーに臨時アンチダンピング措置の実施に関する公告(商務部公告2024年第42号)
同公告は2024年10月11日より施行されます。