重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.243
2024-11-21【中国ビジネス・トレンド】重要法令等の解説(簡易版)
1.定年退職年齢が段階的に引き上げられます
関連規定:段階的に法定退職年齢の延長に関する決定
上記決定により、15年の期間を経て、男性従業員の法定退職年齢を、満60歳から満63歳に、女性従業員の法定退職年齢を満50歳(一般社員)、満55歳(管理職)から、それぞれ満55歳、満58歳に、段階的に引き上げます。
詳細内容は「国務院による法定退職年齢の段階的延長に関する弁法」にて規定されており、主な内容は以下の通りです。
(1)法定退職年齢を段階的に延長する
・2025年1月1日から、原法定退職年齢60歳である男性及び原法定退職年齢が55歳である女性従業員は、法定退職年齢を4ヶ月毎に1ヶ月延長し、それぞれ63歳及び58歳に順次引き上げる。
・現法定退職年齢が50歳である女性従業員は、2ヶ月ごとに1ヶ月延長し、55歳に順次引き上げる。
(2)最低納付年限を順次引き上げる
2030年1月1日から10年かけて、基本養老年金の最低納付年限を、現在の15年から、段階的(毎年6か月ずつ加算)に20年に引き上る。
(3)柔軟な退職制度を実施する
・従業員が最低納付年限に達した場合、柔軟な早期退職を自主的に選択でき、退職の前倒し期間は最大3年間を超えてはならず、且つ退職年齢は元法定退職年齢の、女性従業員50歳、55歳、男性従業員60歳を下回ってはならない。
・従業員が法定退職年齢に達した後、会社と従業員と合意した場合、柔軟に定年退職を延長することができ、延長期間は最大3年を超えてはならない。
(4)養老保険奨励メカニズムを健全化し、法定退職年齢を超える労働者等の権益保証を強化する
失業保険金を受領しており、且つ、法定退職年齢まで1年未満の人員に対して、失業保険金の受領年限を、法定退職年齢まで延長する。
また、上記の段階的な法定退職年齢延長措置の実施期間中には、失業保険基金が、規定に基づき、養老保険の払い込み手続きを代行する。
(5)詳細な法定退職年齢延長対照表及び最低納付年限の引き上げ状況表は、同決定の付属文書をご参照下さい。
2.ネットワークデータセキュリティ管理条例が公布されました
関連規定:ネットワークデータセキュリティ管理条例(国務院令2024年第790号)
ネットワークデータ処理の規範化、及び、ネットワークデータのセキュリティ保護等のために定められた行政法規です。全文は9章64条より構成され、2025年1月1日より施行されます。主な内容は以下の通りです。
(1)ネットワークデータセキュリティ管理の全体的な要求と一般規定の明確化
(2)個人情報保護要求の明確化
(3)重要データの安全保障制度の健全化
(4)ネットワークデータのクロスボーターセキュリティ管理規定の最適化
(5)ネットワークプラットフォームサービス提供者の義務明確化
3.特定医療分野に関する対外開放政策が打ち出されました
関連規定:医療分野での対外開放拡大の試行に関する通知(商資函「2024」568号)
外資導入と、中国の医療分野の発展促進を目的として、以下の医療分野において、対外開放の措置が実施されます。同通知は2024年9月7日施行となります。
(1)生物技術分野
(2)独資病院分野
4.外資参入ネガティブリスト(2024年版)が公布されました
関連規定:外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト・2024年版)(国家発展委員会、商務部2024年第23号)
「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2024年版)」が公布され、2024年11月1日より施行されます。
第3回・一帯一路国際合作ハイレベルフォーラムでは、高水準の対外開放を目的として、製造業の外資参入制限を全面的に撤廃する方針が打ち出されました。
当該政策に基づき、2024年版のネガティブリストが公布されましたが、製造業の外資参入制限として残っていた「印刷(中国出資メジャー)」、及び、「特定の漢方薬品生産」が撤廃。これにより、製造業に対する外資参入制限が撤廃されました。
5.複合一貫輸送の推進に関する政策が公布されました
関連規定:輸出貨物の鉄道・道路複合一貫輸送業務モデルの試行に関する事項の公告(税関総署公告2024年第137号)
税関総署は、輸出貨物の鉄道・道路複合一貫輸送モデルの試行開始のために、上記の公告を公布しました。施行は、2024年10月15日となります。
6.免税店に関する管理規則が公布されました
関連規定:市内免税店監督管理弁法(税関総署公告2024年第138号)
市内の免税店の監督管理の規範化に関する税関の弁法で、2024年10月1日から施行されています。
(1)経営関連の条件
(2)免税商品の販売に関する条件
(3)免税品の受け取り
7.節能節水、環境保護、安全生産の専用設備数字化、知能化改造に関する企業所得税政策の公告(財政部・税務総局公告2024年9号)
2024年1月1日~2027年12月31日の間に企業が節能節水、環境保護、安全生産の専用設備のデジタル化、知能化を進めるため投資した金額で、当該専用設備の購入時の課税基礎の50%を上回らない部分に対して、10%の比率で当年度の企業所得税課税額から控除できます。当年度の税額から控除ができない場合、翌年度に(最長5年)繰り越すことが認められます。
本公告の投資とは、専用設備のデジタル化、知能化改造中に固定資産価値に計上した支出を指し、関連規定に基づき還付された増値税及び専用設備の運送、組み立て、検測等の費用は含まれません。
8.対米国差別的関税不徴収に関する延期公告(税委会公告2024年第6号)
国務院公布の「対米国関税課税に関する13回目の不適用延長に関する商品リスト公告(税委会公告2023年第11号)」。リスト掲載商品の報復関税非適用期限につき、2024年7月31日から2025年2月28日まで延長されました。
9.企業改制再編及び事業単位改制に関する印紙税政策の公告(財政部・税務総局公告2024年14号)
●営業帳簿の印紙税
(1)企業改制再編及び事業単位改制中に新設された企業の新しい帳簿に記載された資本金と資本積立金において、再編前未納税部分と再編後増加した部分に対して、印紙税を納付する必要があります。
(2)債権を持分に変更し、増加した資本金と資本積立金に対して、印紙税を納付する必要がある。国務院が実施する再編プロジェクトであれば、印紙税が免除されます。
(3)企業改制再編及び事業単位改制中、評価の結果増加した資本金と資本積立金に対して、印紙税を納付する必要があります。
(4)他の勘定科目に計上された資金を資本金と資本積立金に振り替えた場合、印紙税を納付する必要があります。
●各類契約書の印紙税
企業改制再編及び事業単位改制前に締結し、未履行の契約に対して、改制再編後に元契約の権利と義務を継続し、且つ元契約の課税根拠を変更しない場合、改制再編前に印紙税を納付すれば、改制再編後に再度納付する必要はありません。
●財産権移転証書の印紙税
(1)企業改制、合併、分立、破産清算及び事業単位改制のため、締結した財産権移転証書に対して、印紙税が免除されます。
(2)県級以上の人民政府又は国有資産管理責任を持つ部門が土地使用権、部屋など建物の所有権、持分を行政調整するため締結した財産権移転証書に対して、印紙税が免除されます。
(3)同一投資主体が土地使用権、部屋など建物の所有権、持分を内部移転するため締結した財産権移転証書に対して、印紙税が免除されます。