重要法令等の解説(簡易版)【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.239
2024-10-04【中国ビジネス・トレンド】重要法令等の解説(簡易版)
1.瀋陽等6都市で関連行政法規と国務院が批准した部門法律規定の実施を一時的に調整することに関する批准書(国函[2024]110号)
「国務院による瀋陽等6都市で服務業拡大開放総合試行の展開に関する批准書(国函「2022」135号)」により、国務院は瀋陽市、南京市、杭州市、武漢市、広州市、成都市で服務業服務業拡大総合試行を展開することに同意しました。
試行期間は批准書公布日から3年となります。
今回公布される国函「2024」110号は試行内容に対して具体的に規定されており、主な内容は以下の通りです。
2024年7月8日から、瀋陽市、南京市、杭州市、武漢市、広州市、成都市の6都市で、「民弁非企業単位登記管理暫定条例」、「旅行社条例」、「娯楽場所管理条例」、「営業性演出管理条例」、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」の関連規定の実施を、以下の通り、暫定的に調整します。
●非営利型医療機構
瀋陽市、武漢市、広州市、成都市で、中外共同資金寄付方式で、基本医療衛生サービスを提供する非営利型医療機構の設立を認める。
●非営利型養老機構
外国会社が杭州市、広州市、成都市において、寄付方式で非営利型養老機構の設立を認め、条件に合致する場合、法により民弁非企業単位として登記できる。
●旅行会社
瀋陽市、南京市、広州市、成都市で、関連条件を満たす外商投資旅行会社(台湾地区以外の出国旅行業務に従事できる)の設立を認める。
●インターネット業務(VPN業務)
瀋陽市、南京市、杭州市、広州市、成都市で、外資向けに国内VPN業務(外資の出資分は50%を超えない)を開放する。海外電信運営者による合資公司の設立を通して、前述都市内の外商投資企業に国内VPN業務の提供を奨励する。
⇒「外商投資電信企業管理規定(国務院令2001年第33号。2022年3月第三回修正)・第六条により、増値税電信業務(基礎電信業務の中の無線ページングサービスを含む)に従事する外商投資企業の外国出資比率は、原則として、50%以内とする必要が有ります。
当該規制緩和前は、CEPA投資者または自由貿易試験区内に登記された企業に対しては、外資比率50%以内の前提で、国内VPN業務に従事する中外合資企業の設立が可能でした。今回の批准書の施行により、瀋陽市、南京市、杭州市、杭州市、成都市においては、CEPAを活用しない場合、若しくは、自由貿易試験区外であっても、外資向けの国内VPN業務に従事する外資電信企業(インターネット企業)を設立することが認められます(外資比率は50%以内に制限される)。
●インターネット業務(アプリストア・ネット接続サービス)
瀋陽市、南京市、杭州市、広州市、成都市において、情報服務業務(アプリストアに限定し、外資禁止領域を含まない)、ネット接続サービス業務(ユーザーのためのネット接続サービス)等の増値電信業務の外資出資比率制限を取り消す。
⇒当業務も、VPNと同様、インターネットサービスであり、「外商投資電信企業管理規定」に基づく制限が実施されています。
今回の規制緩和措置前は、CEPA投資者または自由貿易試験区内に登記された企業に対しては、外資比率100%形態で、アプリストア・インターネット接続サービスを展開する外資企業の設立が可能でした。
これが、上記の暫定開放地域において、非CEPA出資・自由貿易試験区外企業に対しても、出資比率制限の廃止が認められます。
●娯楽業務・演出場所
外国出資、香港、マカオ、台湾地区の出資者が設立する娯楽場・演出場に関する審査権限が、南京市、杭州市、武漢市、広州市、成都市人民政府文化主管部門に授権されます。
●経営型演出
外国出資、香港、マカオ、台湾地区の文芸演出団体、個人が参加する経営型演出の審査権限が、南京市、武漢市、広州市、成都市人民政府文化主管部門に授権する。
●社会調査
広州市において、外資社会調査会社の設立を認められます。
当該暫定措置の適用を受ける場合、中形出資比率は67%以上とする必要が有り、設立された会社の法定代表人は、中国籍である必要が有ります。
参考:瀋陽等6都市で服務業拡大開放総合試行の展開に関する批准書(国函[2022]135号)
2.「工業製品生産許可証管理リストの調整に関する国務院の決定」を確実に実施するために関する事項の公告(国家市場監督管理総局公告2024年第25号)
一部分の工業製品に対しては、工業製品生産許可証制度が実施されており、対象製品は、不定期に調整が実施されます。
本公告では、一部製品の、工業製品生産許可証リスト参入が規定されています。
3.輸出貨物原産地証明書発行管理弁法(税関総署第270号令)
輸出原産地証明書の発行に関する弁法で、2024年9月1日から施行されます。「中華人民共和国非優遇性原産地証明書発行管理弁法」は同時に廃止されます。
本弁法は非優遇性原産地証明書、特恵用原産地証明書、区域性優遇原産地証明書の発行管理に対して適用され、税関及び中国貿易促進委員会及びその地方貿易促進機構による原産地証明書発行に対して適用されます。主な内容は以下の通りです。
1、原産地証明書の申請、審査、発行
2、原産地証明書の補足発行、再発行と修正
3、原産地審査
4、秘密保持
4.税関リスク管理弁法(税関総署第271号令)
本弁法施行前は、税関側の輸出入リスク管理の根拠規則は、「輸出入検査検疫リスク警報及び快速反応管理規定(元国家質量監督検査検疫総局令2001年第1号。2018年4月修正)」でしたが、現在の輸出入状況を踏まえ、リスク管理を完備する目的で、「中華人民共和国税関リスク管理弁法」が公布され、2024年12月1日から施行されます。
新弁法は、税関のリスク管理原則、処置方式等に対して詳細的に規定しており、税関はビッグデータ、人口知能等の現代科学技術を利用してリスク管理の知能化を引き上げると強調しています。
5.民用航空貨物運輸管理規定(中華人民共和国交通輸送部令2024年第8号)
民用航空輸送について、現在適用する法律は1996年3月1日に公布された「中国民用航空貨物国内輸送規則」(民航総局令第50号)と2000年4月21日公布された「中国民用航空国際輸送規則」(民航総局令第91号)となりますが、前述法律は現在の民用航空輸送状況を完全に適用できないため、航空輸送貨物輸送スケジュールの確保、企業の主体責任を実施させる目的で、交通輸送部は前述二つの法律の統合修正を行い、「民用航空貨物輸送管理規定」に改定しました。