【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.205

2023-09-13

【中国ビジネス・トレンド】

以下のビジネス動向に付いて解説します。

1. 現在有効な企業・個人の税制優遇措置の纏め

2008 年の企業所得税法改定以降、優遇税制は大きく制限されましたが、現時点でも有効な優遇政策があります。一部地域(中西部地域、海南島、上海自由貿易試験区、深セン前海湾、横琴粤澳深度合作区、福建平譚綜合実験区、広州南沙等)、特定企業(ハイテク企業、ソフトウェア企業)、対外開放政策、消費振興政策などに関して有効となる優遇税制(企業所得税だけでなく、増値税、個人所得税などを含む)が、一覧にしてまとめられています。

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2.雇用拡大に関する一回性の補助金政策の継続に関する通知(人社部発[2023]37 号)

高校卒業生の就業促進を確実に実施し、失業保険の役割を発揮するための通知です。
普通高校の 2023 年卒業者及び卒業して 2 年以内に就業していない者、失業者として登録した 16 歳から 24 歳までの青年を採用し、且つ失業、労災、養老保険費を1か月以上納付した場合、2023 年 12 月月末までに対象企業に対して、1,500 元/人という基準で一回のみ雇用拡大補助金が支給されます。

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3.杭州 2022 年アジア競技大会とアジアパラリンピック税関通関の必要事項に関する公告(税関総署公告 2023 年第 73 号)

本公告は、杭州アジア競技大会に関連する出入国貨物と人員に対する監督管理規定となり、税関への届出登記、一時輸出入貨物の税金担保、特殊商品(食品、動植物及びその製品、薬品等)の入国前の事前届出等の詳細が規定されています。

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4.ドローン関連商品の輸出規制に関する公告(商務部、税関総署、国家国防科工局、中央軍委装備発展部公告 2023 年第 27 号)

2023 年 9 月 1 日より、同公告の第一条にある一連のドローン関連商品は、許可なしに輸出することが認められません。
第一条の対象商品を輸出する場合、輸出経営者は省級商務主管部門へ以下資料を提出の上、両用物質と技術輸出許可証を申請する必要があります。

  • 両用物質と技術輸出申請表、輸出契約書、協議書のオリジナルあるいはオリジナルと一致するコピー、スキャンデータ
  • 輸出予定の商品の技術説明あるいは検測報告
  • 最終ユーザーと最終用途証明
  • 輸入者と最終ユーザー状況説明
  • 申請者の法定代表人、主要経営管理人及び申請担当者の身分証明書

対象商品を輸出することで、国家の安全に重大な影響がある場合、国務院の批准を得る必要もあります。

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5.一部のドローンに対して一時輸出規制を実施することに関する公告(商務部、税関総署、国家国防科工局、中央軍委装備発展部公告 2023 年第 28 号)

本公告にて一部のドローン関連商品に対して一時輸出規制が実施されます。
第一条にある対象商品に対して一時輸出規制を実施し、輸出経営者は規定に基づいて省級商務主管部門経由で以下の資料を提出の上、両用物質と技術輸出許可証を申請する必要があります。

  • 両用物質と技術輸出申請表、輸出契約書、協議書のオリジナルあるいはオリジナルと一致するコピー、スキャンデータ
  • 輸出する予定の商品の技術説明あるいは検測報告
  • 最終ユーザーと最終用途証明
  • 輸入者と最終ユーザー状況説明
  • 申請者の法定代表人、主要経営管理人及び申請担当者の身分証明書

対象商品を輸出することで、国家の安全に重大な影響がある場合、国務院の批准を得る必要もあります。

本公告は 2023 年 9 月 1 日から施行し、一時輸出規制の実施期限は 2 年を超えません。一時輸出規制の実施期間中に、既存管理指標と本公告の第一条の指標を満たしていない全てのドローン商品について、輸出経営者が当該商品の輸出目的が大量破壊兵器の拡散、テロ活動もしくは軍事用途であることを知った、もしくは知るべきである場合、輸出は認められません。

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6.保税倉庫、輸出監督管理倉庫の管理を一層規範化することに関する公告(税関総署公告 2023 年第 75 号)

保税倉庫と輸出監督管理倉庫の管理を規範化するため、同公告が公布され、公告には引き出し期限や、新規倉庫設置に関する詳細条件などが規定されており、2023 年 7 月 1 日から施行となります。同公告の主な内容は以下ご参照ください。

保税倉庫、輸出監督管理倉庫(以下「両倉庫」と言う)の管理を規範化するため、「保税倉庫及び倉庫で管理している貨物に対する管理規定」、「輸出監督管理倉庫及び倉庫で保管している貨物に対する管理弁法」に基づき、以下の内容を公布しています。

  • (1) レイアウト要求について、両倉庫の発展を促進するため、各直属税関より両倉庫に対して科学的なレイアウト、倉庫総量の計画、倉庫増加数量の計画、既存数量の最適化を行った上で公布し、企業が両倉庫を設置する場合、レイアウトの要求を満たす必要がある。
  • 管理が規範されており、信用が良好で、情報化システムが税関の監督要求を満たす現代物流企業の両倉庫の建設をサポートする。
  • 資源浪費と同質競争を避けるため、企業に合理的な両倉庫の設立と抹消を奨励する(両倉庫の利用率が低い区域には倉庫の新設を認めない)。
  • (2) 運営の規範化について、以下のことが規定されています。
  • 両倉庫に出入庫するにあたり、税関に貨物到着の確認情報を送る必要がある(大口商品、液体貨物を保管する両倉庫を除く)。倉庫経営会社は実際の出入庫を完了した 24 時間以内に、金関二期保税物流管理システム経由で税関に貨物到着確認核放単を送る必要があり、24 時間を超えて送る場合、自発的に税関に状況を説明する必要がある。税関が管理を強化する必要があると判断した場合、大口商品、液体貨物の保管倉庫も上記要求に基づく対応を要求することができる。
  • 保税倉庫貨物が税関手続きを完了した、もしくは輸出監督管理倉庫貨物が輸入手続きを完了した場合、荷受人・荷送人は手続きを完了した日から 20 日以内に倉庫から引き出す必要がある。特殊状況がある場合、税関の同意を得た上で引き出しを延期する必要があり、延期しても累計の引き出し期限は 3 か月を超えない必要がある。
  • 両倉庫が抹消を申請する場合、倉庫経営企業は貨物輸入納税などの手続きを完了する必要があり、関連申告表、出入庫単などの手続きも完了する必要がある。
  • (3) 設置規範について、両倉庫の設立を新規申請する場合、同公告の付録「保税倉庫、輸出監督管理倉庫設置規範」に基づいて建設しなければならない。2023 年 7 月 1 日前に既に設立した両倉庫について、前述規範と一致しない状況がある場合、直ちに是正し、2025 年 6 月 30 日前に是正完了する必要がある(その期間中に倉庫登録登記証書の期限が満了した場合、企業の申請により、前述規範以外のその他の延期規定を満たす場合、一旦延期を認めることができる)。期限満了後に是正を完了していない場合、倉庫登録登記証書の有効期限満了後延期を認めない。

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7.条件のある自由貿易試験区と自由貿易港で国際高標準を適用した制度開放に関する若干措置(国発[2023]9 号)

対外開放レベル及び自由貿易試験区の戦略等を引き上げるため、以下の措置が打ち出されています。

  • (1) 貨物貿易の革新発展を推進する(試行地区で重点業界の再製造製品の輸入試行のサポート、修理のため一時輸出した後、再度試行地区に再輸入する航空機、船舶への関税免除、原産地証明書の印刷ミス、タイプミス、非重要情報の漏れなどのミスを理由とした優遇関税待遇却下の禁止、試行地区では輸入ラベルに chateau、classic、clos、cream、crusted/crusting 等の表現の記載を認める、等)。
  • (2) 服務貿易の利便化を推進する(内資金融機構がある新金融サービスを展開できる場合、外資金融機構も同サービスを展開できる(特定サービスを除く)、試行地区内の企業、個人が法により指定する国外金融服務の購入を認める、等)
  • (3) ビジネス人員の一時入国の利便化措置(試行地区内の外商投資企業の内部移動専門家の配偶者と家族が当該専門家と同様な入国と臨時居留期限を享受できる、試行地区で分公司もしくは子会社を設立する予定の外国企業の関連高級人員、その配偶者と家族の一時入国期限を 2 年まで緩和する、等)
  • (4) デジタル貿易の健全化を促進する(大衆市場ソフト(重要情報インフラ施設に関するソフトを除く)輸入、販売もしくは使用、及びそのソフト製品が含まれる場合、関連部門及びその業務人員は企業、個人が所有する関連ソフトウェアのソースコードを譲渡または取得することを条件として要求してはならない、等)
  • (5) ビジネス環境を最適化する(真実で且つ規定を満たす、外国投資者と関連する全ての費用(資本出資、未配当利益、利息、資本収益、特許権使用費、管理費等)を自由に送金・入金できることを保障する、等)
  • (6) リスク防止制度を完備化する(試行地区内の関連部門は重大リスク防止制度、安全評価制度を強化する必要がある、等)

各措置の適用範囲は、通知にそれぞれ規定されています。

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8.中国とニュージーランド原産地電子ネットワークのアップグレードに関する公告(税関総署公告 2023 年第 82 号)

自由貿易協定における貨物通関の便利性を引き上げるため、2023 年 7 月 5 日から、中国-ニュージーランド原産地電子情報交換システムのアップグレードが展開され、「RCEP 協定」、「中国とニュージーランド自由貿易協定」におけるニュージーランド発行原産地証明書と原産地声明の電子データの伝送が実現されます。主な内容は以下となります。

  • 輸入貨物の荷受人もしくはその代理人が輸入する際に、ニュージーランド発行原産地証明書に基づいて RCEP もしくは中国とニュージーランド自由貿易協定に関する協定税率を享受する場合、ペーパーレス通関を行う際に「優遇貿易協定原産地要素申告システム」を通して原産地証明電子データと直接輸送規則承諾事項を申告する必要がなく、電子方式で原産地証明をアップロードする必要がない。
  • ペーパーレスではなく、書面で通関する場合、紙の原産地証明を提出する必要がある。
  • 輸出申告は税関総署公告 2021 年第 34 号に基づいて行う。
  • 同公告は 2023 年 7 月 5 日から施行し、税関総署公告 2016 年第 84 号は同時に廃止する。

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9.乗用車、ジープ車の輸出入商品の分類に関する技術特性要求の調整に関する公告(税関総署公告 2023 年第 76 号)

本公告により、国家標準である「自動車、トレーラー及びカートレインの用語と定義(GB/T3730.1-2022)」(2023 年 7 月 1 日から施行)に基づき、「中華人民共和国輸出入税則本国子目注釈(2017 年調整部分)」(税関総署公告 2017 年第 16 号附録 1)の中の乗用車、ジープ車の HS コード判定において満たすべき技術特性要求を以下の通り調整します。

  • 税関 HS コード 8703.2361 の乗用車は GB/T3730.1-2022 の 4.1.1 乗用車の中の a)、b)、注 1 から注 3 の技術特性要求を満たす必要がある。
  • 税関 HS コード 8703.2362 のジープ車は GB/T3730.1-2022 の 4.1.3 の a)、b)、c)、d)、注 1 の技術特性要求を満たす必要がある。
    詳細な技術要求は同公告の付録もご参照ください。

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10. 研発費用の加算控除政策に関するマニュアル

研究開発費用に関する加速御償却などに関するマニュアルが公開されました。

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11.ガリウム、ゲルマニウム関連事項に対して輸出規制管理を実施することに関する公告(商務部、税関総署公告 2023 年第 23 号)

同公告により、「輸出管理法」、「対外貿易法」、「税関法」の規定により、国家の安全と利益を維持するため、2023 年 8 月 1 日からガリウム、ゲルマニウム商品に対して輸出規制が実施されます。
同公告の第二条により、第一条の対象商品は両用物質と技術管理商品に該当し、輸出する前に、省級商務主管部門経由で商務部に申請を提出し、「両用物質と技術輸出申請表」を記入の上、以下の必要書類を提出しなければなりません。

  • 輸出契約書、協議のオリジナルもしくはオリジナルと一致するコピー、スキャンデータ
  • 輸出する予定商品の技術説明と検査報告
  • 最終ユーザーと最終用途の証明
  • 輸入者と最終ユーザーの状況紹介
  • 申請者の法定代表人、主要な経営管理者及び申請担当者の身分証明

商務部は資料を受け取った日から審査を行う、もしくは関連部門と一緒に審査を行い、法定期限内に許可するかどうかを決定しますが、国家の安全に重大な影響がある同公告の対象商品の輸出については、商務部と関連部門が国務院に審査を依頼します。許可された場合、商務部より「両用物質と技術輸出許可証」を発行します。

「両用物質と技術輸出許可証」の申請手続きなどは、引き続き「両用物質と技術輸出入許可証管理弁法」(商務部、税関総署令 2005 年第 29 号)に基づいて執行します。

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12.輸入オフショア現物取引大豆監督管理規範(試行)(税関総署公告 2023 年第 86 号)

輸入オフショア現物取引大豆に対する監督管理を規範するための公告です。
本公告における輸入オフショア現物取引大豆とは、深セン前海聯合取引中心を通して輸入、取引する加工用の大豆(非種用)を指します。
前海聯合取引中心は輸入者ホワイトリストを税関に届け出ます。ホワイトリスト内の輸入者は前海聯合取引中心を通して輸入オフショア現物取引大豆を展開することができます。
輸入オフショア現物取引大豆の保管に従事する、保税倉庫あるいは税関特殊監督管理区域、保税物流中心(B 型)内の保管場所は、前海聯合取引中心の推薦のもと主管税関に申請の上、審査を経て本件大豆の「保税取引倉庫」として認定されます。
また、同公告には、検疫審査、税関申告、調達管理等の事項も規定されています。

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13. 一部成品油の消費税政策に関する公告(財政部・税務総局公告 2023 年第 11 号)

石油精製品に対する消費税課税方法(税率、課税要否)が一部修正されています。

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