【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.189

2023-03-01

【中国ビジネス・トレンド】

以下の重要規定に関して解説します。

1. 企業中長期外債審査登記管理弁法(中華人民共和国国家発展改革委員会令第 56 号)

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中国内企業の中長期外債に関しては、国家発展改革委員会での備案審査を要求するもので、2023 年 1 月 10 日公布、2023 年 2 月 10 日に施行されています。
この弁法は、「国家発展改革委員会による企業の外債発行備案登記制管理改革推進に関する通知(発改外債[2015]2044 号)・失効」の制度変更となっており、今回の弁法に基づけば、中長期外債を発行する(対外借入等の行為を行う)企業は、事前に国家発展改革委員会で審査・登記手続きを行い、「企業借用外債審査登記証明」を取得する必要が有ることになり(第 10 条)、「企業借用外債審査登記証明」がない場合、外債登記、外債口座の開設、資金の受領、換金、使用が認められないこと(第 17 条)が規定されています。
ただ、上海市・広州市の外貨管理局、銀行にヒアリングした結果では、2023 年 2 月 10 日後も、外債登記・外債口座開設時に国家発展改革委員会が発行した「企業借用外債審査登記証明書」の提出は求めないとの回答でした(但し、求められる地域も有るようで、地域による対応のバラツキがあるようです)。
また、国家発展改革委員会にヒアリングしましたが、回答は以下の通りでした。

  • 内資企業の場合、原則的には法律に基づき審査登記を行う必要がある。
  • 外資企業の外債(親子ローン)に関しては、投注差方式の場合は、国家発展改革委員会での登記審査は不要だが、マクロプルーデンス方式を採用する場合、原則として、登記審査が必要となる。但し、具体的な登記審査の要否は、個別状況に基づき、国家発展改革委員会が判断する。
  • 現地の外貨管理局が、外債登記の際に国家発展改革委員会の審査登記証明の提出を要求しない場合、国家発展改革委員会は、現地外貨管理局の意見を尊重する。

以上より、中長期外債の対応は、地域の外貨管理局・銀行での事前確認が必要です。

2. 外商投資研究開発センター設立の更なる奨励に関する若干措置

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商務部・科技部等の 21 部門が制定した、科学・技術革新の発展支持、研究・開発の便利向上、外国人材の誘致奨励、知的財産権保護のレベル向上等の 4 つの面と 16 項目の政策措置です。具体的な内容は以下の通りです。

  • (1)外資研究開発センターが大型科学研究器械、国家重大科学技術計画プロジェクトの科学技術報告及び関連データを使用することを奨励する。 地域の重要な共通技術研究開発にサービスを提供する、外商が投資設立した新型研究開発機構に対して、各地は基礎条件の構築、設備の購入、人材関連サービス、運行経費などの面で支援を提供することができる。
  • (2)外資系研究開発センターが、研究開発目的で一時的に輸入する研究開発重要設備、テスト用車両などに対しては、規定通りに再輸送出国期限を延長することができる。研究・開発データの法律に基づいた越境移動、知的財産権の越境譲渡及び技術輸出入の管理手順の最適化、科学・研究に関する物資の通関及び監督・管理手順の最適化等により、研究・開発の利便性を高める。
  • (3)外資研究開発センターが、外国籍社員に対して、一回限りの労働契約期間を超えない就労許可、若しくは、5 年以内の就業類居留許可を、研究チーム単位で申請することを許可し、中国で働く外国人の利便性の向上、外国人による専門職人材申告の奨励、外国人の越境での資金収支の利便化推進等により、外国人の誘致を奨励する。
  • (4)商業秘密保護規則体系の整備加速、知的財産権保護センターの建設強化等により、知的財産権保護レベルを向上させる。

3. 対外経済貿易企業の人民元クロスボーダー使用拡大による貿易投資の円滑化を促進するための更なる支援に関する通知

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クロスボーダー貿易・投資における、人民元の利用拡大、及び対外貿易企業の貨物代金決済・投融資リスク管理ニーズを満たすため、2023 年 1 月 11 日に商務部・中国人民銀行から公布された通知です。
主な内容は以下の通りで、クロスボーダー人民元決済の推進、自由貿易試験区等のクロスボーダー人民元決済における有効活用の方針などが示されています。

  • (1)各種のクロスボーダー貿易・投資に関する人民元建て価格設定、決済を円滑にし、銀行がより利便性が高い決済サービスを提供することを推奨する。
  • (2)企業の人民元クロスボーダー投融資のニーズを満たすために、銀行が海外における人民元貸付業務を展開することを奨励する。
  • (3)企業の状況に応じた政策を実施することにより、優良企業、初回口座開設企業、中小薄利企業等の満足度を引き上げ、サプライヤーチェーン中核企業等が模範的な役割を果たすことを支持する。
  • (4)自由貿易試験区・海南自由貿易港・境外経済貿易協力区等のオープンプラットフォームを利用し、人民元のクロスボーダー利用を促進する。
  • (5)企業ニーズに合わせた取引マッチングサービス・財務計画・リスク管理などの業務サポートを提供し、保険保障を強化し、人民元クロスボーダーの総合金融服務を完備する。
  • (6)関連資金やファンド等が先導的な役割を果たし、多様な宣伝・訓練を実施し、銀行と企業の連結を促進し、政策のベネフィットを享受できる範囲を拡大する。

4. 改正後の特許法施行に関する審査業務処理暫定弁法の公告(国家知的財産権局公告第 510 号)

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国家知的財産権局は、改正後の特許法の実施を保障し、革新主体による部分的な外観デザイン、外観デザインの国内優先順位の審査要求に応えるため、本暫定弁法を改訂して公布し、2023 年 1 月 11 日より実施しています。
2021 年 6 月 1 日から実施されている「改正後特許法施行に関する審査業務処理暫定弁法」(国家知的財産権局第 423 号公告」は同時に廃止されます。
主な変更については、以下のとおりです。

  • (1)部分的な外観デザインの特許権の出願資料の具体的な要求を明確化(第 1 条)
  • (2)電子による出願方法を追加(第 2 条)
  • (3)外観デザイン特許申請者が自国の優先権を要求する具体的な状況についての説明を追加(第 3 条)
  • (4)電子による声明公布の方法を追加(第 7 条)
  • (5)特許法第 66 条に基づき、被疑侵害者は、電子形式で国家知的財産局に特許権評価報告書を請求できることを追加(第 8 条)
  • (6)国家知的財産局が本措置に基づき下した決定に不服がある場合、申請者は法律に従って行政再審申請、再審要請、または行政訴訟を提起できるという内容を追加(第 10 条)

5. エネルギー電子産業発展の推進に関する指導意見(工信部聯電子[2022]181 号)

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2023 年 1 月 3 日、工業・信息化部をはじめとする 6 部門が共同で公布した指導意見です。
この指導意見では、2025 年までに、産業技術革新の推進、産業基礎の高度化・産業チェーンの近代化レベルの向上を実現することを目標としています。
また、2030 年までに、エネルギー電子産業の総合力を継続的に向上させ、国内外の新エネルギー需要を満たす産業規模を達成し、エネルギー電子産業がカーボン(CO2 排出)ピークアウト・炭素中立実現推進のための重要な力となる目標が打ち出されています。
本意見における 6 つの重要措置は以下の通りとなっています。

  • (1)需要と供給の統一的な調整強化
    産業チェーン全体の協同発展の促進。技術革新の支援体系の健全化等による、エネルギー電子産業チェーンの総合的な調和と融合による発展の推進。
  • (2)先進的、且つ効率的な太陽光発電製品及び技術
    安全で経済的な新型エネルギー貯蔵製品の開発等により、供給能力を向上させる。
  • (3)先進的な製品、及び技術モデルの推進
    重点分野の融合発展の推進。新興分野での適用普及の拡大等により、主要な端末市場での適用を促進する。
  • (4)新エネルギーにとって重要な情報技術の発展
    インテリジェント製造及び運営・維持管理の促進等にとって重要となる情報技術の発展と革新的な適用を推進する。
  • (5)公共服務プラットフォームの建設強化
    産業基準システムの健全化。業界の規範管理の強化。安全管理・リスク防止の実施等により、産業の健全且つ秩序ある発展を推進する。
  • (6)国際協力のペース加速、グローバル産業チェーン配置の深化等による、産業の国際化発展レベルの向上

6. データセキュリティ産業の発展に関する指導意見(工信部聯網安[2022]182 号)

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本指導意見では、2025 年までに、データセキュリティ産業の規模を 1,500 億元以上に、年間複合成長率を 30%以上にすること、省及び省級以上のデータセキュリティ重点研究室を 5 ヶ所建設し、データセキュリティの重点技術と製品の導入に取り組む方針が示されています。
また、8 つ以上の重点産業分野における代表的な適用モデルのシナリオを作成し、一連の優れたソリューション、及び試験的なモデルの事例を普及させること。国家データセキュリティ産業区を 3 ~ 5 ヶ所、先進的な革新応用モデル地区を 10 ヶ所建設すること等が提案されています。また、2035 年までに、データセキュリティ産業が繁栄・成熟期に入ることを目標に掲げています。
上述の目標を達成するために、6 つの重要方針を記載しています。

  • (1)産業の革新能力の向上
  • (2)データセキュリティサービスの拡大
  • (3)標準システムの構築促進
  • (4)技術製品の適用普及
  • (5)産業生態の繁栄構築
  • (6)人材供給の強化

7. 中小零細企業の安定成長・構造調整・能力強化を支援するための若干措置に関する通知(工信部企業函[2023]4 号)

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中央経済会議において可決された措置を着実に実施し、中小零細企業が直面する生産経営と構造の高度化に関する困難な問題に対応するため、本通知が制定・公布されました。
安定成長と安定予測を更に推進し、中小零細企業の構造調整・能力強化を促進するという、2 つ方針と 15 項目の措置を挙げています。

1) 安定成長・安定予測を更に推進させるための 7 つの措置

  • (1)減税・費用削減、雇用安定等の政策の実施・支援を強化する
  • (2)中小零細企業向けの新規融資、信用融資、無返済継続融資及び中長期間融資等、金融機構による融資支援を拡大する
  • (3)産業チェーンにおける中小零細企業の融資を促進する
  • (4)市場の需要を拡大する
  • (5)大口原材料の安定供給を保障する
  • (6)公共サービスの供給及び世論の宣伝誘導を強化する
  • (7)合法的な権益保護を保障する

※「無返済継続融資」とは、元金の返済がなく、利息の支払いだけで継続的に融資することを言います。

2) 中小零細企業の構造調整・能力強化を促進するための 8 つの措置

  • (1)専門・高精密・特殊・新型中小零細企業の育成を強化する
  • (2)大企業と中小零細企業の資源融合、知識共有、価値共創を推進し、革新を実現する
  • (3)科学技術成果の転化と中小零細企業のデジタル化を促進する
  • (4)中小零細企業の品質基準、ブランドレベルを向上させる
  • (5)知的財産権の活用と保護を強化する
  • (6)中小零細企業の専門職審査業務の最適化、「学校・企業のダブル雇用」制度を実施する
  • (7)優秀な中小零細企業への直接資金支援を拡大する
  • (8)中小零細企業の特色ある産業群の質の高い発展を促進する

8. 株式発行登録制度の全面実施前後における行政許可項目の移行期の取決めに関する通知

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2023 年 2 月 1 日、株式発行登録制度の全面的な改革が正式に開始されました。
「新規公開株式発行登録管理弁法」、「上場企業証券発行登録管理弁法」等の規則が公開され、意見募集が行われました。
登録制度の全面的な実施にあたり、審査対象企業の安定、且つ秩序を保ち移行するために、中国証券監督委員会が本通知を公布しました。
「意見募集稿」の実施により、企業の中長期外債管理を更に完備し、規範化・制度化・透明化・便利化のレベルを高め、外債リスクを効率的に防止するとしています。

中国証券監督委員会による株式発行登録制度の全面実施に関する主要制度規則についての意見募集( 原文)