【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.181

2022-11-07

【中国ビジネス・トレンド】

■  華東ビジネス・トレンド

華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。

1. 企業従業員のオンライン職業訓練の監督管理の一層の強化に関する事項の通知(滬人社職[2022]210 号)

コロナ感染症まん延下の企業支援と雇用安定の一環として、上海市では「オンライン職能訓練」に対する補助金の拡充強化が図られています。本通知は、企業の自前のシステム或いは認定を受けた外部訓練組織のプラットフォームによるオンライン訓練への補助金の適切な支給/使用状況の監督を強化するための指示文書です。

要点は以下の通りです。

  • 1)備案申請に必要な提出書類(備案表、告知承諾書、訓練計画書等)の確認。第三者組織へ外注の際は依頼者と請負者の訓練協議書(訓練項目、実施時間、費用、双方の権利義務など明記)も必要。
  • 2)第三者組織は「ホワイトリスト」に登録されているものに限る。それ以外の第三者の訓練は補助金の対象外。
  • 「ホワイトリスト」対象組織は『上海市職業技能向上行動“インターネット+職能訓練計画”の通知』(滬人社規〔2020〕395 号)に従い、市内各区から推薦。「上海市就業促進センター」が審査し、リスト公布。リストは随時更新(抹消、追加)。
  • 3)「上海市インターネット訓練監督プラットフォーム」による訓練実績データの監督。異常値発見の際は企業の訓練権限一時停止、市/区の人力資源・社会保障部門へ通報。
  • 4)各区のオンライン訓練項目に対する審査の主体的責任。訓練計画の合理性の審査強化(訓練への全員参加、訓練の難易度レベル、業務との関連性等)。「上海市就業促進センター」の抽出検査。
  • 5)虚偽申告、不正行為に対する処罰(補助金支給停止/訴求回収、ホワイトリスト永久抹消、刑事責任追及等

(原文)

2. 危険品の船荷証券の電子データの伝送要求に関する再度の通告(上海税関通告 2022 年第 4 号)

危険な貨物の輸入集積地区(港湾埠頭)の安全確保/潜在危険の除去と埠頭荷役管理の効率化のため、税関総署のこれまでの関連法規/規定に基づいて、危険貨物の電子データ伝送に関する要求を改めて通告した文書です。
コンテナ船貨物、バラ積み船貨物、空輸貨物のそれぞれ船荷証券電子データの伝送時間の期限が規定されています。

  • (1)入境コンテナ貨物:船積み開始の 24 時間前まで。国境外の中継港での積み換え貨物は、最後の積み換え港の積み込みの 24 時間前まで。
  • (2)バラ積み船貨物:国境内の第 1 入着港への到着 24 時間前まで。航海時間が 24 時間以内の貨物は、国境内の第 1 入着港への到着前まで。
  • (3)空輸貨物:空輸時間 4 時間以下の場合は、輸送機が離陸する前まで。空輸時間 4 時間を超える場合は、国境内の第 1 入着空港到着の 4 時間前まで。 船荷証券の電子データ伝送責任者は、規定されたデータ項目(荷受人の名称/国内住所連絡先、危険物の品目コードなど)を完全に伝送することが求められます。 伝送データ規定に不備があれば『中国税関行政処罰実施条例』(国務院令第 420 号、04 年 11 月施行)等規定に従い処罰されます。

(原文)

3. 上海税関の集積回路産業発展支持のための監督管理刷新試行実施弁法(上海税関通告 2022 年第 3 号通告)

上海市のコロナからの経済復興/発展の重点項目に位置付けられる集積回路産業のサプライチェーン全体をカバーするため、上海税関が制定した「新型税関監督管理サービス体系」を適用するトライアルポイント(対象企業)とサービス内容の実施弁法です。
各区税関は、管轄地区の申請企業に対しその適格性を審査/認定します。また不適格行為による登録抹消も行います。
トライアルポイントに対する革新的な監督管理として以下の施策が示されています。

1)通関の簡便・迅速化

  • 緑色優先通路、専用窓口/難問諮問解決メカニズムの適用。通関事前申告/一括徴税方式の利用を奨励。「無対価補償方式」を利用する場合商品検査証明書等の証明資料の提出を免除できる(税関が提出必要と判定した場合を除く)、など。 《参考》「無対価補償」=通関後の貨物に欠損、不足、品質不良、規格外れ等問題がある時の交換、補充、代替品納入に対する関税/その他徴税の免除措置

2)監督検査の機能充実、柔軟対応

  • 越境貿易ビッグデータプラットフォーム活用/集積回路サプライチェーン全体の安全評価と安全チェーンに対する抽出検査の軽減。
  • 高度新技術(真空包装、遮光包装、恒温貯蔵等)貨物の輸入通関の柔軟対応(備案によるリスク事前評価+入関の観察プロセス+事後のリスク検証)。木材梱包貨物の「直通式検疫」。
  • トライアルポイント企業が輸入する補修用パーツ(ハイリスク金属材料以外)に対する「符合性評価+合格保証」方式での合格審査。
  • 参考》「符合性評価+合格保証」方式=トライアルポイント企業証書と製品合格保証声明を提出するだけで税関が合格評定し、税関の現場検査が省略される方式
  • 半導体用フォトレジストの輸入通関の多様な合格評価方式採用による通関利便性向上。

3)徴税管理の融通性と迅速化、優遇税制

  • 企業集団から保証差し入れによる納税簡略化。原材料、消耗品輸入の迅速審査/承認。集積回路、重要技術設備輸入の税制優遇の利用サポート。集積回路の減免税審査の「快速審査+ ERP ネットワーク管理」方式へのサポート。

4)保税貨物に対する監督管理の融通性、企業自主管理拡大

  • 保税貨物の企業による自主保管。トライアルポイント企業間での保税貨物流通時の税関検査省略。トライアルポイント企業の保税材料と非保税材料の交換処理の自主管理。
  • 補修用パーツの保税倉庫の集中検査と実際の保税倉庫出庫輸入時のロット毎の分割核銷による入関処理迅速化。
  • 洋山特殊総合保税区における集積回路の物流配送センター建設サポート。

5)企業管理と監査

  • トライアルポイント企業の信用強化育成、重点育成リスト企業の優先育成/優先認証。税関の専門員による税関政策の広報/経営指導、法律諮問、企業意見収集、など。
  • 監査業務に対する第三者機関の利用、高級認証企業の自社検査結果の認可と先端技術利用によるリモート監査の模索、など。

(原文)

4. 優良企業の貿易外貨収支利便化試行政策の更なるレベルアップに関する通知(上海匯発[2022]22 号)

上海市で進められている貨物貿易/サービス貿易の外貨収支管理の簡便化:トライアルポイント資格銀行による優良企業の認定と当該企業の貿易外貨収支業務の主体的管理の更なる推進のため、外管局上海分局が公布した指導書:『優良企業の貿易外貨収支の利便化の試行展開の指導意見』の通知です。

  • トライアルポイント対象業務範囲の拡大(資本項目を除く一次収入と二次収入を網羅)
  • 外貨収支業務を行う銀行の資格条件の緩和
  • 有資格企業の経常項目の外貨収支の取引実績の期間の緩和(2 年以上)

『優良企業の貿易外貨収支の利便化のトライアルポイント展開の指導意見』(本通知別添)の主な内容は、以下の通りです。

  • 1)銀行のトライアルポイント資格取得の要件
    • 全国的銀行の上海地区の一級支店、上海市の地域銀行の本店。
    • 総合的な経営能力、業務コントロール/内部監査能力、リスク管理メカニズム、貨物貿易/サービス貿易の業務上のリスク警告能力、外貨業務熟知の専門員、管理対象企業に対する総合的管理能力。
    • 過去 3 年以内の外貨業務の合規性/経営評価が B +以上。『銀行承諾書』提出。
  • 2)対象企業から有資格銀行への適格条件申請の要件
    • 2 年以上の経常項目の外貨収支の取引実績。集団型企業は上海地区での登記企業を「主管企業」として申請。
    • 優良企業資質(貿易収支合理性/安定性、生産経営安定、高信用度、違法取引無し、過去 3 年間外貨管理違反処罰無し、過去 3 年間貿易外貨管理分類 A 類など)
    • 専門員による業務監督/評価、貿易収支の実証能力、記録の電子化管理
  • 3)銀行から上海市分局への備案提出条件
    • 銀行自身の自己評価(過去 3 年間の外貨業務/経営状況、収支構造、査察、リスク警告、処罰、人員管理、最初にトライアルポイント業務を行った支店、最初に推薦したトライアルポイント対象企業とその評価内容など)
    • 銀行の専門管理方法(管理プロセス、内部リスク管理、銀行支店の対象企業の適格/不適格条件管理、具体的な管理措置など)
    • 『銀行承諾書』提出。完備された備案を受理してから 20 業務日以内に、資格適合銀行に対し上海市分局名で書面通知。それ以降銀行はトライアルポイント業務開始可能。
  • 4)トライアルポイント企業への外貨収支管理の利便化措置
    • 事前審査の簡素化、有資格銀行による外貨収支の日常管理。5 万米ドル以上のサービス貿易の外貨支出の「サービス貿易等項目対外支出税務備案表」との事後突き合わせの許可。
    • 貨物貿易における期限越え外貨特殊返金業務(返金と最初の外貨収支日の間が 180 日超え或いは特殊事情で最初のルートで返金不能)の外管局への事前登録免除。
    • 貨物貿易の外貨送金時の輸入通関申告票の確認手続き免除。
    • サービス貿易における国内と国外の非関連企業間で発生する立替金/分担支払い、或いは 12 か月を超える立替金/分担支払いは、有資格銀行による真実/合理性審査後に処理。
  • 5)銀行による対象企業管理
    • 企業の経営状況、能力の追跡観察。毎年最低 1 回の実地調査。企業の業務方式、内部コントロールの実情に基づき自主的に事後審査し、業務の真実性/合規性を確認。
    • 日常管理の中で貿易収支に異常を発見した場合、即刻利便化措置を一時停止、真実性/合規性の確認が出来た後に再開。
  • 6)トライアルポイント企業資格の即刻取り消し条件(5 業務日以内に取い消し) - (1)有資格銀行の定期評価で不合格 - (2)外貨管理局から B/C に格下げ評価 - (3)「構造貿易」(主に中継貿易で見られる複雑化した虚偽貿易)、「虚偽貿易」発覚 - (4)虚偽書類の提出 - (5)外貨管理局、有資格銀行の監督管理に非協力的 もし有資格銀行の資格取り消しの場合、その銀行が推薦した全てのトライアルポイント企業の資格も自動的に取消し。(但し自動取り消しされた企業の他の有資格銀行からの推薦資格は取り消しとならない) 一旦資格取消しとなった企業は、原則として 2 年間は再申請不可。 本通知には『銀行承諾書』のひな型が添付されています。

(原文)

5. 上海市商標登録申請の迅速審査サービス指南(滬知局[2022]25 号)

22 年 1 月公布の国家知識産権局『商標登録申請の迅速審査弁法(試行)』(国家知識産権局 467 公告)及び『指南書』に基づき、上海市が作成した商標登録の迅速サービスの手引書です。
<申請可能な上海市の法人、その他組織及び個人事業者(商標)>

  • 国家或いは省級の重要工事、重要プロジェクト、重要科学技術の基礎施設、重要な催事、重要な展覧会などの名称で、尚且つ商標保護に緊迫性があるもの
  • 特別重大な自然災害、事故、公共衛生に係る事件、社会安全に係る事件など突発的な公共事件の期間に、その事件に直接関係し対応するもの
  • 経済社会の高品質発展、知識産権強国の建設要綱の推進のため確実に必要なもの
  • 国家利益の保護、社会公共利益或いは重要な区域発展戦略にとって重大な現実的意義があるもの

また申請の提出について、次のような制約条件が付けられています。

  • まず先に電子申請方式で国家知識産権局商標局に商標登録の申請が出ていること
  • 申請者全員の同意を経ていること
  • 商標が文字のみで構成されていること
  • 団体商標、証明商標では無いこと 《参考》 団体商標:団体、協会など組織名で登録し、その構成員の商業活動の使用に供し、使用する者が組織の構成員資格を表す商標。 証明商標:特定の商品或いはサービスの監督能力を有する組織が管理し、組織以外の者がそれを使用する際の当該商品/サービスの原産地、原料、製造方法、品質又はその他の特定格付けを証明する商標。特定格付けとは、例えばブランドホテルチェーンを表す商標など。
  • 商品或いはサービスが手引書の要求に密接に関係し、尚且つ「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に列記される標準名称であること
  • 優先権請求が提出されていないこと

迅速サービス適用申請は、「審査請求書」、「申請受理通知書(コピー)」、「手引書の要求に合致することの証明」を書面(紙)形式で上海市知産局に提出の必要があり、書式や使用字体の要求があります。
一旦局側が受理した後は、5 業務日以内に審査を終わらせなければならないとされています。
当文書には「商標登録申請迅速審査請求書」のひな型が添付されています。

(原文)

6. 「上海市入境者/帰還者向けサービス」スマホ随申弁ミニプログラムの使用開始、上海市入境者/帰還者は事前に入境旅程の申告が必要

感染症流入防止、重点リスク者の正確な識別、リモート制御向上のため、また上海市に入る人/上海市に戻る人の入境旅程申告の便宜のため設定した「(スマホ用)アプリ/ミニプログラム」に関する上海市人民政府による説明です。
国内の移動者用で、海外からの入境者用ではありません。

低リスク地区や感染症未発生地区からの入境者も、当日日帰りで外地から上海に戻る者も含め、全ての入境者に申告義務があります。正確に申告すれば入境承認を待つ必要はなくそのまま入境出来るとしています。
また「義務」とはしていませんが、過去 7 日以内に中高リスク地区に行った者の上海入境は出来るだけ先延ばしを推奨し、上海到着後は速やかに自宅のある居住区の委員会或いは滞在予定のホテルに連絡するよう求めています。(連絡は 12 時間を超えてはならない) スマホを持たない老人や子供は、家族、友人、同行者のスマホから「同伴者登録」欄を使って登録するよう求めています。
申告の拒否、虚偽申告に対しては『中華人民共和国伝染病防治法』の規定に照らし法的責任が厳重に追及されます。

(原文)

7. 随申碼(健康QRコード)の赤色、黄色判定の更なる明確な管理規則

感染症まん延の制御、個々人の健康状態と移動状況の追跡のための「随申碼(健康QRコード)」の危険度の分類で、赤色判定と黄色判定の基準をより明確に示した文書です。

<赤色判定の対象者>

  • 第 1 次 PCR 検査で陽性判定、検体プール検査法(複数検体の混合検査)で陽性判定
  • 陽性確定者、無症状感染者、疑似陽性者
  • 濃厚接触者、濃厚接触者の濃厚接触者
  • 集中隔離或いは自宅隔離による医学観察中の海外からの入境者
  • 国内の中高リスク区域に旅行/滞在履歴がある出境者(当該リスク区域から離れたもの)

<黄色判定の対象者>

  • 陽性判定者が病院/施設から退院した後自宅健康観察中の者、無症状感染者の退院者
  • 区域協力検査データの相同性検索(Homology Search)でリスク者と判定された者
  • 防疫情報重点管理人員データ庫の対象者で PCR 検査判定がまだ済んでいない者
  • PCR 検査をする必要があるがまだ検査が出来ていない者

市民が自身のリスク判定に疑問/異議がある場合、「12345 市民ホットライン」で電話申立て、或いは「随申弁」アプリを通じてオンラインでの申立てが出来ます。
市のビッグデータセンターと市/区の管轄部門が市民の申立てを精査し対応します。

(原文)

8. 上海市への入境者/帰還者管理の更なる強化のため「落地検」の推進

「省・市を跨いで上海市に入ってくる人から感染が広がるケースが多い」という認識を踏まえ、上海市入境の水際での「PCR 現場検査(落地検)」を徹底的に推進し、陽性者の早期発見、濃厚接触者の人数抑え込み、防疫対策の時間稼ぎを狙いとした臨時施策です。
当面は当通知公布日から 11 月 15 日迄です。
空港、鉄道駅、高速道路/一般公路の入境地点に PCR 検体採取施設を増設、また「地点 QR コード」又は「デジタル哨兵」(個人データ全体を確認出来る現場設置型デバイス)で入境者の安全度の確認を行います。
非陽性発見者は、その人の健康コード色別と入境前 7 日の旅程履歴で対応が変わります。

  • 1)赤色分類者や過去 7 日間に「静態管理措置区域」など高リスク地域に滞在/経由した者は、入境地点の防疫部門により隔離観察が必要。
  • 2)黄色分類者や上記以外の重点管理地区に滞在/経由した者、また PCR 検査記録から 48 時間を超えた長距離交通手段の移動者は、入境の現場で直ぐに検体採取。
  • 3)それ以外の入境者は上海市到着後 24 時間以内に PCR 検査実施。もし 48 時間以内に PCR 検査が出来ていない場合は“随申碼”に警告が出て、健康コード表示を暫時停止、検査結果が記録された時点で表示停止解除。

入境後 72 時間を超えて PCR 検査報告が無い場合は、公共施設への入場や公共交通手段の乗車が出来ません。また PCR 検査を拒否した結果感染症まん延を起こした場合は『伝染病防治法』に照らし法的責任を厳重に追及するとしています。

(原文)

9. 上海市危険廃棄物監督管理強化と利用処置能力改革実施方案(滬府弁規[2022]8 号)

上海市の危険廃棄物の監督管理と有効利用能力向上を図る目的の総合的な施策を示した方案です。
国務院『危険廃棄物監督管理強化と利用措置能力の改革実施方案』(国弁函[2021]47 号)の考え方に上海市の実情を合わせて作成したとしています。
年限を定めた下記の目標を掲げています。

  • 1)2022 年末までに、「安全と環境保護の監督管理の連携メカニズム」を構築し、危険廃棄物、医療廃棄物の無害化処理率 100%を達成。医療廃棄物の収集/輸送システム完全化。
  • 2)2025 年末までに、戦略的新興産業と先進産業発展の需要に呼応した「源頭厳防(発生源の厳格抑制)」、「過程厳管(処理過程の厳格監督)」、「後果厳懲(問題発生/違反等の厳格懲罰)」の監督管理体制の構築。危険廃棄物利用処能力の保障。

以下のような総合的で多方面にわたる改革が示されています。

  • 危険廃棄物の監督管理体制/メカニズムの完備:(部門間協力による重大問題解決体制、省を跨ぐ危険廃棄物移転「ホワイトリスト」、危険廃棄物の長距離輸送管理、危険廃棄物処理能力強化と価格公開、環境汚染責任保険、情報システム完備、など)
  • 危険廃棄物発生源の制御:(建設工事の危険廃棄物の科学的評価/工事全体追跡管理、爆発/可燃/有毒ガス発生危険物の予備処理、貯蔵場所管理、生産中/生産後の監督強化、企業自主検査/各区検査/市の抜取り検査、発生源の減量化と資源化の推進、など)
  • 危険廃棄物回収/輸送過程の監督強化:(回収/輸送の専門化、利便化/迅速化、違法犯罪取締り、損害賠償制度、危険廃棄物の鑑定/貯蔵等の経費の常態化、など)
  • 危険化学品の廃棄物の監督強化:(生態環境部門と他の関係部門の連合の法規執行メカニズム構築、環境監督/安全監督の重点企業リスト、など)
  • 危険廃棄物の集中処置の基礎保障能力レベルアップ:(危険廃棄物の埋立て処置リストの作成、上海市固形廃棄物処置センター二期工事の推進、25 年までに生活ごみ焼却の二次汚染物の埋立て率2%以下、上海化工区等での廃塩の海洋放流、医療廃棄物の分類管理強化、嘉定医療廃棄物集中処置施設の増強改造、など
  • 危険廃棄物処理産業の発展促進:(処置企業の大規模化/専門化、市場化方式による危険廃棄物の大規模利用施設の推進、今後建設する廃棄物焼却施設の年間処置能力 3 万トン、25 年までに全市の危険廃棄物燃焼処理能力 40 万トン/年以上、固形廃棄物総合利用標準体系、埋立て処置と医療廃棄物処置の料金標準化、小型医療機関の廃棄物回収の財政支援、など)
  • 危険廃棄物/医療廃棄物の応急処置体系:(緊急処置管理チーム/専門家チーム編成、医療廃棄物応急処置メカニズム構築、重大防疫医療廃棄物の処置能力保障、など)
  • 危険廃棄物の環境リスクコントロール能力強化:(専門的監督チーム/応急処理技術/専門家人材バンク増強、経営許可証管理、汚染制御標準の改定、基礎研究能力アップ、など)
  • 保障措置:(地方/部門責任の引締め、環境目標年度報告、社会に劣悪な影響ある地方/企業の専門的監督、創新型/技能型高度人材養成、報奨制度、公衆への公開、など)

(原文)

10. リハビリテーション補助器具産業発展の加速に関する実施意見(滬府規[2022]10 号)

全国に先駆け 2019 年 11 月市内 70 ヵ所の「健康補助器具リーステスト拠点」の営業を始める等、上海市はこれまで高齢者、障がい者、傷病者向け健康・リハビリテーション補助器具分野では国内の先頭を走る都市でした。
本文書は、上海市のこの分野をさらに先端的に加速的に発展させる政策の実施に関する意見書です。

14 次五か年計画期間中に「製品のイノベーション転換」、「産業構造レベルアップ」、「財政支出体系確立」、「豊富な製品供給」を実現し、上海市の民生を保ち、就業を安定させ、改革を促進し、内需を拡大し、消費を増やす「重要な柱」とする事が掲げられています。
主要任務として次の 4 点を掲げ、各々その任務の責任部門を示しています。

  • 1)自力のイノベーション能力増強:
    • 創新リーディング人材/ハイレベル創新団体支援の仕組み構築。医療/社会福祉/障がい者リハビリ/器具メーカー総合的連携、専門資金/政府基金利用、有名産業園区、特色製品と新型サービス開発、成長期の科技型中小企業の自力開発支援、など
  • 2)産業構造の優良化/レベルアップ:
    • 「国際先進開発センター」「開発本部基地」、産業分野を跨ぐ融合発展、スマート製造/ロボット、脳科学/人工知能研究、「インターネット+」/クラウド計算/ビッグデータ利用の開発/製造
    • 全面的健康補助器具産業チェーン構築、国際合作、海外企業投資/購入、など
  • 3)市場拡大/有効供給:
    • リハビリロボット/3 D プリント/新材料等ミドル・ハイエンド領域で知的財産権を持つ“上海ブランド”確立「上海国際養老・補助器具リハビリ博覧会」「中国老年福祉製品創意/創新競技会」、展示館/体験館の拡充
    • 老齢者/傷病者看護/障がい者生活・就業支援等分野での医学/工学結合、AI/脳コンピューターインターフェイス/VR 等新技術応用、“人体装着型行動支援ロボット”“介護ロボット”“VR リハビリ訓練設備”、漢方医療のイノベーションによる特色的なリハビリ器具開発
    • 生活区でのリースサービス網構築、品質管理体系(製品寿命を含む)/認証、品質訴求システム確立、製品品質責任保険の奨励、など
  • 4)良好な市場環境の創出/運営:
    • 政策制度体系の完全化、「国家級サービス業標準化トライアルポイント」への申請奨励、リハビリ補助器具の検査/認証組織の育成、知的財産権紛争解決メカニズム、データ統計整備、情報公開、不当競争防止、など

また産業発展の加速のため、次のような支援政策を示しています。

  • 税制優遇:(研究開発費経費控除上乗せ、公益的贈与の所得税税前控除、高新技術企業への所得税優遇、など)
  • 金融サービス強化:(知産権担保融資、特許保険、クラウドファンディング、国家の新興産業向け等の各種基金利用、養老領域政策性融資担保、など)
  • 財政資金の拡充:(政府援助範囲追加、政府購買メカニズム構築、基礎研究支援、など)
  • 消費サポート:(重度障がい者介護/養老サービスへの補助金、医療保険支払い対象化、労災保険支払い制度整備、民間保険会社での保険商品化、など)
  • 人材/組織強化:(専門人材育成、臨床医学/生物医学/医師/養老ケアラー/障がい児ケアラー等に幅広く普及教育、企業/学校の実用型人材養成基地建設への支援、など)

また政策の実現に向け、リハビリ補助器具産業の各部門を集めた「連席会議」、市民生局主導の毎年の「全体会議」、当産業に係る統計データ体系の確立、民政局主導での行政指導、社会への啓蒙宣伝強化などが指示されています。

(原文)