【水野コンサルタンシー中国ビジネス情報】ダイジェスト版Vol.175
2022-08-12【中国ビジネス・トレンド】
■ 華南ビジネス・トレンド(労務)
華南地域(広東省)の最近のビジネストピックスを、地方通知などを踏まえてご紹介します。
■ 労務
1. 広東省統計局による 2021 年度広東省平均給与の公布
6 月 2 日に広東省統計局のホームページにて 2021 年度の広東省平均給与が公布されました。
2021 年の広東省城鎮非私営組織における就業者の年度平均給与は 118,133 元(月平均 9,844 元)で、2020 年の 108,045 元と比べ、10,088 元増加し、名目上昇率が 9.3%、物価の上昇率を控除後の、実質上昇率は 8.2%増となっています。
その内、在職従業員の年度平均給与は 120,299 元(月平均 10,025 元),名目上昇率は 9.0%です。
企業類別から見ると、香港・マカオ・台湾投資企業の年度平均給与の上昇率が 14.1%で最高となっています。外商投資企業の上昇率は、12.7%であり、全省平均の 9.3%より高くなっています。
城鎮非私営組織とは、都市・鎮に設立登記された、個人経営ではない法人及び統計上、法人と見なされる産業活動を行う組織を指します。具体的には、国有企業、都市・鎮の団体企業、経営連合組織、株式会社、外商投資企業、香港マカオ台湾投資企業などが含まれます。
2022 年 7 月 1 日から 2023 年 6 月 30 日までの期間、一部の社会保険の基数は、2021 年度の企業所在都市の在職従業員の平均給与(以下「同平均給与」)に合わせて調整されます。また、同平均給与の基準によって計算される支払い基準も同時に調整されます。経済補償金上限の基準(同月平均給与の 3 倍)、経済補償金に対する個人所得税の免税基準(同年度平均給与の 3 倍)、外国人工作許可証 B 類・A 類申請のための給与基準(同月平均給与の 4 倍か 6 倍)などが含まれます。
※各市の統計局が公布した、グレーターベイエリア(大湾区)9 都市の 2021 年度の在職従業員の月平均給与は、高額な市から順番に、以下の通りです。
深セン市 12,964 元、広州市 12,024 元、珠海市 10,121 元、佛山市 8,690 元、恵州市 8,277 元、中山市 8,235 元、江門市 7,798 元、肇慶市 7,649 元、東莞市 7,414 元。
(原文)
2. 広東省衛生健康委員会による生育登記管理弁法の公布に関する通知(粤衛規[2022]2 号)
2022 年 3 月 15 日、広東省衛生健康委員会は、生育登記管理弁法を公布し、2022 年 5 月 1 日から施行されます。有効期間は 5 年です。それまで施行されていた、『広東省衛生健康委員会による生育登記と再生育許認可に関する管理弁法』(粤衛規[2021]2 号)は、同時に廃止されています。
同弁法は、子供 3 人の出産政策の実施に伴い、2021 年 12 月に改定された『広東省人口と計画生育条例』に基づき、子女出産の許認可制度を廃止し、いずれの子女(4 人以上も含め)も出産前に生育登記を行うべきで、登記しなかった場合、出産後、速やかに登記を行うべきであることが、明確にされました。生育登記証明書類は、出産行為が『広東省人口と計画生育条例』に符合するかどうかの根拠にしないことを明記し、登記手続きの簡素化、必要書類、所要日数等についても規定しました。
(原文)
3. 広東高級人民法院が公布した労働争議の十大典型的事例(2022 年 4 月 28 日)
4 月 28 日に、広東省高級人民法院は、労働争議の十大典型的判例を公表しました。 これらの判例は、労働関係、労働報酬、経済補償金など、伝統的な労働争議、新産業雇用紛争、新型コロナウィルス流行期間の労働争議などに関わります。
(原文)
4. 広州市中級人民法院及び広州市総工会が公布した新業態における十大労働争議典型的事例
2022 年 4 月 29 日、広州市中級人民法院と広州市総工会(労働組合総会)は、プラットフォームの経済発展と労使関係の安定化を促進するため、新業態における労働争議の典型的事例を連名で公布しました。公布された十大事例は、以下の通りです。
- プラットフォームと宅配業者間の労働関係認定
- 「裁判所+労働組合」での訴訟・調停体制によるアンカーの経済補償金追及
- ネット配信の労働関係の認定
- 労働組合による宅配業者の労働関係認定への法的援助
- 宅配業者の雇用単位の識別認定
- ネットワークキャスターのアーティストの仲介契約は労働関係が成立しない
- ネットワークキャスターの総務担当の労働関係認定
- 雇用者は誠実に管理権を行使すべき
- 労働契約の履行は職業規則及び公序良俗に従う必要がある
- 株式インセンティブを労働報酬として利用できるかどうか
(原文)