加工貿易制度の変更 掲載日:2014年9月1日

2015-01-13

掲載日:2014 年 9 月 1 日

加工貿易制度の変更

2014 年 3 月 12 日に税関総署令 2014 年第 219 号が公布され、「加工貿易貨物監督管理弁法、以下、弁法」が改定されています(即日施行)。
この他にも、加工貿易手続きに関連するものとして、「加工貿易貨物監督管理弁法の執行関連問題に関する公告(税関総署公告 2014 年第 21 号)、以下、21 号」、「一部の規則の改定に関する税関総署の決定(税関総署令 2014 年第 218 号)、以下、218 号」等が公布されていますので、これらによる制度変更の内容を解説します。

1.手続の変更

21 号(第 1 条)には、加工貿易備案(変更)、外注加工、深加工結転、原材料結転、核銷、放棄に付いて、税関の許可手続を不要とする事から、各々の呼称を、加工貿易手冊開設、外注加工備案、深加工結転申請、原材料結転申請、核銷申請に変更する事が規定されています(放棄制度に付いては取り消し)。
これにより、従来、必要であった税関の許可が不要となったため、加工貿易企業にとっては、業務の合理化が期待できます。
また、218 号(第 2 条)では、異地加工貿易に関しても、税関の許可取得が不要となる事が規定されています。

2.外注加工制度の変更

外注加工に関して、以下の様な制度変更が行われています。

1)外注加工の許認可
制度変更前は、外注加工を行う場合、加工貿易企業は、税関許可取得が必要でした。
今回の制度改定により、税関の許可手続が不要となり、加工貿易企業は、外注した日から 3 営業日以内に、所管税関に届け出る事で対応が可能となりました(弁法第 24 条)。
また、21 号第 6 条では、初回の外注より 3 営業に以内に税関に外注加工の基本状況を届け出る事(状況に変化が生じた場合、関連情報の変更手続を行う必要あり)、製品を外注に出した日から 10 日以内に、税関に実際の商品の受取・配送状況を申告する必要がある事が規定されています。
尚、初回の外注とは、加工貿易手冊において、初めて外注加工を行う事を指し、契約を単位に管理する方法と、企業を単位に管理する方法が、21 号には規定されています。
契約を単位に管理する場合、初回外注とは当該手冊に基づいて、初めてその下請け企業に外注を委託する事を指し、企業を単位とする場合、当該核銷期間に、初めて外注を委託する事を指します。

2)外注加工の保証金
制度変更前は、税関総署令 2010 年第 195 号により、「税関所管区を跨ぐ外注加工。全工程の外注。外注先から直接輸出する形態の外注加工」を行う場合、加工貿易企業は、税関に対して税額(関税・増値税等)に相当する保証金(保証金・銀行の保証状)を積み立てる事が義務付けられていました。 今回の改定により(弁法第 24 条)、保証金積み立て要件が、全工程の外注を行う場合に限定されましたので、異地外注、外注先からの直接輸出を行う場合に付いては、保証金の積み立てが免除されるものと思われます。
保証金の種類に付いては、以下3を参照ください。

3.保証金の積立

加工貿易企業が一定の要件に該当する場合、税額に相当する保証金の積立が要求されます。
この保証金は、従来、「保証金、若しくは、銀行の保証状」と規定されていましたが、これが、「保証金、銀行の保証状、銀行以外の金融機関の保証状(以下、保証金等)」となり、非銀行金融機関の保証状の差入れが認められました。 尚、保証金等の積立が必要となる状況は、弁法などには、以下の通り規定されています。

1)保証金等の積立が強制される場合(第 14 条)
加工貿易企業が以下の状況にある場合、手冊開設に際して、保証金等の積立が強制されます。
・密輸の疑いにより税関の調査を受けており、まだ解決していない場合。
・企業に管理上の問題を税関に指摘され、是正期間中に有る場合。
尚、『2.外注加工制度の変更』で解説した通り、加工貿易企業が全工程を外注する場合も、税関は、保証金等の積立を要求する事になります。

2)税関が保証金等の積立を要求できる場合(第 15 条・第 17 条)
加工貿易企業が、以下の何れかに該当する場合、手冊開設に際して、税関は加工貿易企業に、保証金等の積立を要求する事ができます。
・工場建物、設備を賃貸している場合。
・初めて加工貿易を行う場合。
・加工貿易手冊を 2 回以上延長する場合。
・異地加工貿易を行う場合。
・税関規則に違反し、税関の調査を受けている場合。
・申告内容、提出書類が事実と合わない状況下、税関に輸入した貨物の再輸出を命じられ た場合。