企業集団加工貿易監督管理モデル 執筆日:2021年10月30日
2021-10-30執筆日:2021 年 10 月 30 日
企業集団加工貿易監督管理モデル
2021 年 10 月 9 日に、税関総署より「企業集団加工貿易監督管理モデルを前面推進に関する公告(税関総署公告 2021 年第 80 号)」が公布され、2021 年 10 月 15 日より施行されています。
1.集団モデルとは
① モデルの意義
企業集団加工貿易監督管理モデル(以下、集団モデル)とは、資本関係を有する企業集団(親会社・子会社・関連会社)を単位とした加工貿易グループであり、グループ企業間で保税原材料、保税製品、無償提供設備の共有を容易にする制度です。
② 集団モデルの申請
集団モデルの採用に当たっては、構成メンバーが主幹企業を選定し、その企業が、所管税関に適用申請します。申請に際して提出する書類は、以下の通りです。
1)企業集団加工貿易監督管理モデル備案表
2)全てのメンバー企業の法定代表人が署名し、公用印を押印した授権委託書
3)メンバー企業の出資証明
③ 申請資格
集団モデルの申請ができるのは、以下の条件を満たした企業となります。
1)主幹企業の税関信用ランクが高級認証企業であり、メンバー企業のランクが信用喪失企業ではないこと(注)。
注:税関信用ランク制度の変更(税関総署令 2021 年第 251 号)により、2021 年 11 月 1 日より、税関信用ランクは、「高級認証企業、信用喪失企業、その他」の 3 分類となっています。
2)企業の内部管理・システム化が保証されており、税関要求に合致した保税品管理が可能であること。
3)加工貿易企業の資格制限や輸出入数量制限の対象となる貨物(農産物、原油、銅鉱石、衛星テレビ受信設備、皮革等)を取扱わないこと。
尚、企業集団全体で加工貿易手冊(帳冊)を取得するか、個別企業が取得するかは、企業側が選択できます。
2.集団モデルのメリット
集団モデルを採用する場合、以下の通りのメリットが享受できます。
① 保税資材の共用
企業グループ内で、保税資材を、「余剰原料転廠」、「転廠(深加工結転)」の形で転送できます。転廠の認可(実際にはシステムによる税関報告)は容易ですが、余剰原材料の場合は、一定の制限が有る場合がありますので、これが円滑に行えるのであれば、メリットが有ります。
また、企業グループ内での保税原材料の交換が可能です(来料加工の場合は、所有権者である外国企業の同意が必要です)。
② 外注加工
通常の外注加工は、税関での備案が必要ですが、集団モデルを採用する場合、税関手続きが不要となります。
また、通常は、全工程の外注をする場合、外注する企業は、税関に保証金を積立てる、若しくは、銀行・ノンバンクの保証状を差し入れる必要がありますが、集団モデルの場合は不要となります。
③ 無償提供設備
無償提供設備には 5 年間の監督期間が設定されますが、税関監督期間中の設備でも、集団企業内であれば、転送使用が可能です。
設備転廠は、通常、同一税関所管区内でのみ認められますので、所管区を跨いだ設備転廠が可能であれば、意義があります。
尚、無償設備の転廠に際しては、転送後も輸入用途に合致した使用であることが前提となります。
3.資格の取消
企業集団内の企業が、1-③ の条件に合致しない場合や、保税品管理の問題がある場合は、税関は当該企業の資格を取り消すことができます。
資格を取り消された企業は、当該年度中は、再度の参加は認められません。
また、主幹企業が取り消された場合、メンバー企業は、他の主幹企業を推薦することができます。
尚、年度内に 2 社以上のグループ企業が資格をはく奪された場合、当該企業グループ全体の資格がはく奪されます。