【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.46 (2021年2月18日発行)

2021-02-21

【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.46 (2021 年 2 月 18 日発行)

【中越ビジネスマニュアル 第 46 回】

中国・ベトナムにおける例外的な国内外貨決済について

中国もベトナムも、国内の外貨決済は原則として禁止されていますが、例外的に認められている内容もあります。今回は、例外的に認められる国内外貨決済について解説します。

■ 中国

中国の外貨管理条例(国務院令 2008 年第 532 号)は、中国内での外貨決済、および、外貨建値の設定を原則として禁止しています。つまり、実際に、外貨決済するだけでなく、例えば、米ドル建て人民元払いの様な外貨建て価格も禁止されます。ただし、以下の内容等は、例外的に外貨決済が認められています。

<1> 融資

金融機関からの融資の場合は、中国内の借入であっても、外貨借入が可能です。

ちなみに、対外借入(外債)の場合は、外貨で借り入れた場合でも、匯発[2016]16 号の規定に基づいて、人民元換金できますが、中国内の金融機関から外貨借り入れした場合は、人民元換金が認められません。つまり、国内で調達する場合は、外貨が必要な場合は外貨で、人民元が必要な場合は、人民元で借り入れる必要があります。

<2> 保税区域が関係する場合

中国内の保税区域が関係する場合は、外貨決済が認められます。ただし、全ての場合において外貨決済が認められる訳ではなく、一定のルールがあります。

外国から保税区域に貨物が到着した場合、「保税・免税措置の適用を受けられる貨物か否か」で手続が異なります。暫定保管貨物の場合は、保税措置の適用が認められますが、これを、保税区域内企業で売買する場合、もしくは、保税区域から国内区外地域に搬出する場合(輸入通関が行われる)は、外貨決済が認められます。保税区域内にあっても、既に、輸入通関手続きを行い、内貨になっている貨物を売買する場合は、人民元決済のみ可能です。

免税措置の適用が受けられるのは、区域内企業の設備・原材料等ですが、これを、税関の許可を取得し、区外に搬出する場合(それに伴い、輸入通関が行われる場合)は、外貨決済となります。一方、保税区域内で、既に、税関監督が解除されている場合は、人民元決済となります。

<3> 国内出資

外資投資性公司(外資持ち株会社)が行う出資は、外国出資扱いですので、外貨出資が可能です。一方、非投資性公司の出資は、内国出資扱いになるので、人民元のみとなります。

ただし、2019 年 10 月に施行された、匯発[2019]28 号では、外資の非投資性公司に関して、外貨・人民元双方の持分出資が可能との規定があります。この点は、実務運用が、この通り行われるのか、状況確認が必要な状況です。

■ ベトナム

ベトナムの中央銀行通達第 32/2013-NHNN 号(ベトナム領域内での外国為替使用禁止規定施行指針)は、ベトナム内での外貨決済、および、外貨建値の設定を原則として禁止しています。つまり、実際に、外貨決済するだけでなく、例えば、米ドル建てベトナムドン払いの様な外貨建て価格も禁止されます(同通達第3条)。

ただし、以下の内容等は、例外的に外貨決済が認められています。

<1> 融資

金融機関は、貸付先が下記等条件を満たす場合において外貨建貸付が可能です(中央銀行通達第 24/2015/TT-NHNN 号第3条第1項)。

1)輸入品・サービスに対する国外支払いに用いられる短期・中期・長期借入であり、事業収益から得る外貨によって十分な返済が可能な場合
2)重要国家プロジェクトとして国会・首相による投資決議がなされ、計画投資省により外国投資証明書が発行された外国直接投資に用いられる借入の場合
<2> 保税区域・輸出加工企業が関係する場合

国境における一定の隔離された区域(保税区域)や保税倉庫にてサービス提供を行うベトナム居住組織は、見積書や契約書において外貨建値の設定が認められており、サービスへの対価として外貨現金の受領、外貨送金の受領が可能です(中央銀行通達第 32/2013-NHNN 号第4条第 10 項)。

また、ベトナム居住者である輸出加工企業(以下EPE: Export Processing Enterprise)が関係する以下のケースにおいても外貨建値の設定、外貨決済が認められています(中央銀行通達第 32/2013-NHNN 号第4条第 12 項)。

1)EPEが輸出製品の製造・加工・再加工・組立のため、または、輸出用にベトナム国内市場から物品を購入する場合、外貨建値での契約、外貨での送金が認められます。したがって、ベトナム国内企業が、EPEに物品を販売する場合、外貨建値での見積書作成、送金による外貨受領が認められています。
2)EPEは、他のEPEに対する、外貨建値での見積書・契約書作成、送金による外貨支払・受領が認められています。
<3> 国内出資

ベトナム居住者には、ベトナムにおける外国投資プロジェクトへの資本拠出に対して、外貨での送金が認められています(中央銀行通達第 32/2013-NHNN 号第4条第5項)。

以上


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