【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.38 (2020年6月22日発行)
2020-07-20【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.38 (2020 年 6 月 22 日発行)
【中越ビジネスマニュアル 第 38 回】
中国・ベトナムにおける会計処理と税務申告について
中国・ベトナム進出企業の、会計・税務処理に関して解説します。
【中国の場合】
中国に設立した企業の会計年度は、暦年(12 月決算)とする必要があり、例外は認められません。会計処理は、伝票起票段階から中国語で行う必要がありますので、汎用会計ソフトを使用する場合はよいのですが、自社開発ソフトを使用する場合は、中国語対応(カスタマイズ)が必須となります(中国語を主とした上で、外国語を併用する事は可能)。
また、外資企業の場合は、年度会計監査が義務付けられていましたが、2014 年に実施された商事登記制度改革により、免除される市が増えています。ただし、匯発[2016]7号により、5万米ドル超の配当を行う場合は、会計監査報告書の提示が義務付けられます。
なお、所管税務局には、毎月、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の提出が義務付けられます。税務申告に付いては、以下の通りです。
■ 企業所得税
企業所得税の納税年度は暦年ですが、四半期ごとの申告と予定納付が必要となります。
また、翌年5月末までに確定申告を行う必要があります。
■ 増値税
増値税は、月次申告が必要になります。
増値税は、日本の消費税と同様、最終消費者が負担する税金であり、一般納税義務者は、預け・預かり(仮払増値税・仮受増値税)を相殺した後の税額を納付します。
なお、増値税は、インボイス方式(増値税発票に基づく記帳・申告)が採用されています。
■ 個人所得税
個人所得税は、個人を納税義務者とする税金ですが、雇用者には源泉徴収義務がありますので、通常、企業は代理申告・納税を行います。
個人所得税の納税年度も暦年ですが、申告納税(源泉徴収納付)は月次対応が必要となります。その上で、翌年3月1日~6月 30 日の期間に、確定申告を行います。
【ベトナムの場合】
ベトナムに設立した企業の会計年度は、暦年(12 月決算)が原則ですが、3月決算、6月決算、9月決算の選択も認められています。暦年を会計年度とする企業が多いため、監査法人の繁忙期は、12 月決算時、3月決算時の順となります。繁忙期を避けて6月決算、9月決算を選択することにより、相対的に監査報酬を抑えられる場合もあります。会計処理は、伝票起票段階からベトナム語で行う必要がありますので、自社開発ソフトを使用する場合は、ベトナム語対応(カスタマイズ)が必須となります(ベトナム語を主とした上で、外国語を併用する事は可能)。
また、所管税務局には、毎年、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・財務諸表への注記)の提出が義務付けられており、全ての外資企業には監査報告書の提出も求められています。税務申告については、以下の通りです。
■ 企業所得税
企業所得税の納税年度は、企業が選択した会計年度ですが、四半期ごとの予定納付(四半期ごとの課税所得に応じた納付)が必要となります。ただし、予定納付時には、申告書の提出は求められません。また、決算日から 90 日以内に確定申告を行う必要があります。
■ 付加価値税
付加価値税は、企業の前年度売上が、500 億ドン超の場合は月次申告が必要ですが、500 億ドン以下の場合は四半期での申告が可能です。付加価値税の算定には、控除法と直接法がありますが、直接法は、個人事業主等に適用される方法ですので、原則として、控除法が適用されます。付加価値税は、日本の消費税と同様、最終消費者が負担する税金であり、控除法の場合、一般納税義務者は、預け・預かり(仮払付加価値税・仮受付加価値税)を相殺した後の税額を納付します。
なお、付加価値税は、インボイス方式(インボイス発票に基づく記帳・申告)が採用されているため、企業は、発票管理を厳格に行う必要があり、この点が、会計・税務処理を煩雑にしています。
■ 個人所得税
個人所得税は、個人を納税義務者とする税金ですが、雇用者には源泉徴収義務がありますので、通常、企業は代理申告・納税を行います。
個人所得税の納税年度は暦年ですが、企業の前年度売上が 500 億ドン超、かつ、月次源泉徴収額が 5,000 万ドン以上の場合、申告納税は月次対応が必要です。それ以外の場合は、四半期での対応となります。
その上で、暦年末日から 90 日以内に確定申告を行います。
以上
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