【Mizuno-CH中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版Vol.35 (2020年3月23日発行)

2020-05-21

【水野コンサルタンシー中国・ベトナムビジネス情報】ダイジェスト版 Vol.35 (2020 年 3 月 23 日発行)

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【中越ビジネスマニュアル 第 35 回】

中国・ベトナムにおける輸入取引・通関申告上の注意点について

輸入取引に関する、通関・納税・決済上のポイントを解説します。

【中国の場合】

■ 輸入当事者

中国では貿易権管理が行われており、輸入取引の当事者(中国企業)は、外貿流通経営資格保有でなければいけません。外貿流通経営資格は、かつては厳しく制限されていましたが、2004 年7月の対外貿易法改定により開放されましたので、適切な営業権を有する企業(外資企業を含む)であれば、商務主管部門・税関での手続により、比較的容易に取得する事ができます。

ただ、支店(分公司)は、独立した法人ではない事から、税関登記・外貿流通経営資格の取得が認められていませんでした。この状況が、2019 年2月に、「税関総署公告 2018 年第 191 号」・「対外貿易経営者の備案登記作業の効率化推進に関する通知(商貿函[2019]72 号)」で改善され、税関・商務主管部門で手続を行えば、貿易取引の当事者となる事ができるようになっています。

■ 輸入通関

輸入通関は、適正時価(CIF価格)に基づき、それを基準として関税・増値税(特定の奢侈品については、それに加えて消費税)が課税されます。

適正時価に基づかない取引を行う場合(例:無償取引、時価を下回る取引など)、「税関輸出入貨物価格査定弁法(税関総署令 2013 年 213 号)」に基づき、申告価格を修正する必要があります。申告価格の修正は、同一製品・類似製品の取引時価、もしくは、類似製品の中国内販売価格からの逆算、製造原価・関連経費を元にした輸入価格算定などの方法に基づき行う必要があります。

税関は、所管地域の輸出入通関価格を、商品別、企業別にデータ化していますので、同一商品の一般的な取引時価とは異なる価格設定を行う場合、同一企業が、過去の実績とは大きく乖離する取引を行う場合、通関システムがロックされ、調査を受ける可能性があります。

この様な価格データ管理は、当然、徴税(関税・増値税の納税)に直結する輸入取引の方が厳しいですが、輸出に際しても、大きな価格変動は、調査を受ける可能性があります。

■ 揚げ地ファイナル条件

輸入契約に、輸入地である中国での数量・品質検査が条件づけられている場合があります。この場合、輸入通関後の検査により、取引価格・数量が確定しますが、契約の有効性はさておいて、納税・外貨管理上は対応が困難です。

増値税暫定条例では、輸入時の増値税の納税義務は、「輸入通関の当日」に発生する事が規定されており、輸入通関後の申告価格・納税額の修正は極めて困難です。

また、貨物代金決済管理(匯発[2012]38 号)では、通関価格と決済価格の一致を原則としているため、輸入通関価格とは異なる決済を行うと外貨管理上の問題が生じ得ます。

■ ロイヤルティなど

輸入貨物に直接関連するロイヤルティなどを個別に支払う場合、当該金額を、輸入通関価額に加算する必要があります。

加算の対象となる支払いは、税関総署令 2013 年第 213 号に、「本来輸入貨物価格に含むべき費用(第 11 条)」、「輸入貨物に関連する特許使用料・商標料・販売代理権で、一定の条件に合致するもの(第 13 条)」、「中国内販売貨物の輸入であり、それを支払わないと、当該貨物の買い付け、契約ができないもの(第 14 条)」が挙げられています。それらの条件は、少々複雑ですが、原則的な考え方は、日本の制度と類似しています。

この項目は、税関調査の対象になりやすいため、十分な制度の理解が必要です。

■ 税関に支払った増値税の還付

輸入貨物に関する増値税は、税関に納税しますので、「発票」ではなく、「税関輸入増値税納税書」が発行されます。かつて、これは、増値税の輸出還付証憑として認められていなかったため、輸入貨物を、(加工を行わず)そのまま再輸出した場合、増値税輸出還付が受けられませんでした。この状況が、2012 年7月の制度改定(税関総署公告 2012 年第 24 号)で、改善されましたが、実務上は、依然として税務局と税関の連携上の問題で、還付が容易に認められない事例が見受けられます。この点は、再輸出(返品)を行う前に、所管地域の実務状況の確認が必要となります。

【ベトナムの場合】

■ 輸入当事者

ベトナムでは貿易権管理が行われており、輸入取引の当事者(ベトナム企業)は、輸入権登記が必要となります。外資企業への輸入権資格は、かつては厳しく制限されていましたが、2007 年ベトナムの世界貿易機関(WTO)加盟による流通権開放にともない 2009 年に緩和されました。また、2018 年1月 15 日の「政令番号 09/2018/N D-CP」により、外資企業に求められていた輸入品目のHSコード登記は、石油等一部品目を除き、原則として輸入・卸売りに関しては不要となりました。なお、ベトナム企業の支店に対する規制は特にないため、本店の登記事項の範囲内での活動が認められます。

■ 輸入通関

輸入通関は、課税価格を基準として関税・付加価値税・特別消費税が課税されます。通常、購入価格である適正時価(CIF価格)に基づき課税価格を決定しますが、適正時価に基づかない取引を行う場合(例:無償取引、時価を下回る取引など)、「輸出入貨物の課税価格に関する通達(財務省番号 39/2015/TT-BTC)」に基づき、同一製品・類似製品の輸入価格、輸入製品・同一製品・類似製品のベトナム国内販売価格から合理的費用・利益を控除した価格、製造原価・関連経費を元にした算定価格などに基づき申告を行う必要があります。また、税関は、課税価格データベースを構築していますので、同一製品の一般的な取引時価とは異なる価格設定を行う場合、もしくは、同一企業が過去の実績とは大きく乖離する取引を行う場合において、税関の調査を受ける可能性があります。

■ 揚げ地ファイナル条件

輸入契約に、輸入地であるベトナムでの数量・品質検査が条件づけられている場合があります。この場合、輸入通関後の検査により、取引価格・数量が確定しますが、契約の有効性はさておいて、納税上・外貨管理上は対応が困難です。税関法等では、課税価格は、輸入時における購入価格に基づくものとされており、輸入通関後の申告価格・納税額の修正は極めて困難です。また、外貨管理上、通関価格と決済価格の一致を原則としているため、輸入通関価格を超える決済を行うと問題が生じ得ます。

■ ロイヤルティなど

輸入貨物に直接関連するロイヤルティなどを個別に支払う場合、当該金額を、輸入通関価額に加算する必要があります。加算の対象となる支払いは、「輸出入貨物の課税価格に関する通達(財務省番号 39/2015/TT-BTC)」に、「口銭、仲介料、梱包費、支援費、著作権料、知的財産権使用料など(第 13 条)」が挙げられています。それらの条件は、少々複雑ですが、原則的な考え方は、日本の制度と類似しています。この項目は、税関調査の対象になりやすいため、十分な制度の理解が必要です。

■ 税関に支払った付加価値税の還付

「付加価値税法等に関する改正法(番号 106/2016/QH13)」に基づき、製品およびサービスの輸出事業に関連する未控除仕入付加価値税(VAT)は、原則として、次の申告期間に繰り越されますが、その額が少なくとも3億ベトナムドン発生している場合は、還付申請が可能です。輸入品の再輸出に関しては、その対象外とされてきましたが、2018 年2月1日以降は、対象に含まれています(政令番号 146/2017/ND-CP)。

以上


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